









アイーシャ・ファリード
ジッダ:アラブニュースが2017年にアルーラを初めて訪れて以来、多くの変化があり、シーンは急速に進化し続けている。新たなダイニング体験が追加されたほか、冒険を求める人向けの刺激的なエンタメ活動も登場した。
遺産の中で最も新しいダイニングスポットのひとつが、有名なプライベートメンバーズクラブである「アナベルズ」だ。「ウィンター・アット・タントラ」イベントの際にオープンしたこのクラブが、今回はアラビアのヒョウというすばらしいテーマを掲げて戻ってきた。
昨年、ブラジルの熱帯雨林への寄付を募るイベントに向けて、クラブ全体が熱帯雨林をテーマにして変貌を遂げた。アルーラにやってきたこのクラブは、ヘグラに少しだけ熱帯雨林を持ち込むことを決め、遺産であるこの場所をオアシスへと一変させ、テーマに沿った複数のプライベートダイニングルームを用意した。
ユネスコの世界遺産に登録されているヘグラにあるこのクラブは、忘れられない体験を約束するだろう。アルーラの「アナベルズ」は毎晩営業しており、特製メニューやアルーラから着想を得たオリジナルのモクテルを提供している。
もうひとつのダイニング「スハイル」では、本物の味を求める人向けにさまざまな地元料理が一堂に会する。このレストランの名前は、かつてアラブ人が長い旅をするときに頼りにした輝く星に由来している。
大きな超高層ビルが建つことはないでしょう。建てられるものや建てられないもの、そして開発方法には厳しい条件があります。自然的にも美的にもすべてのものが環境に適合し、そうでないものを押し付けることはありません。
フィリップ・ジョーンズ、RCUチーフ・デスティネーション・マーケティング&マネジメント・オフィサー
「スハイル」は伝統と豪華さを融合させたサウジアラビアのハイエンドダイニングだ。本物の味を再現した伝統的な家庭料理を提供するとともに、モダンなデザインの空間で本物のサウジアラビア流のおもてなしを提供している。
すべての料理をセレクトするのは「トップ・シェフ・ミドル・イースト」に出演したり、現地で自身の料理番組に出演するなど、メディアでの成功を収めた同店のエグゼクティブ・シェフであるラカン・アル=オライフィ氏だ。彼はサウジ・ツーリズム・エクセレンス・アワードの「ベスト・サウジ・シェフ2018」、サウジ・ジェネラル・エンターテインメント・オーソリティの「ベスト・サウジ・シェフ2019」および「リヤド・シーズン2019」のアンバサダーに選ばれている。
3つ目のレストランは、オアシス近くのワジの入り口にある、伝統的なスタイルの菓子パン屋である「ピンクキャメル」だ。甘いお菓子やおいしい軽食を食べたり、コーヒーを飲みながら、心地よい香りや揺れるヤシの木に囲まれた風景を楽しむことができる。
冒険好きな旅行者のために、アルーラ王立委員会(RCU)は、ヒジャーズ山脈の景色を眺めながら時速100km以上のスピードで走るスリル満点のジップラインなど、さまざまなアクティビティを用意している。
また、冒険中毒の人は、アドレナリンが分泌されるような、衝撃の少ない乗り物を楽しむこともできる。デューンバギーでは、砂漠の生態系を壊すことなく、その美しさを紹介するように設計されたコースを通って山や砂丘を通過する。ワディ・ラムの狭い峡谷や高い砂丘、難所を案内してくれるのは経験豊富なガイドだ。
RCUは旅行者を惹きつけるためのキャンペーンの一環として食事やエンターテイメントを用意しているが、もてなしや贅沢さも同委員会が目指すところの一部だ。
アラブニュースでは、RCUのデスティネーション・マーケティングおよびマネジメント担当責任者であるフィリップ・ジョーンズ氏にインタビューを行い、アルーラを一流のブティック型の遺産および文化的目的地にしようとする計画について説明してもらった。
アラブニュースは、RCUのフェーズ・ゼロ開発をいち早く体験した。「ワジ地区の開発が進むことになります。ここは観光地区になるでしょう。秋には芸術と文化に非常に力を入れます。ギャラリーや展示会、フェスティバルなど、訪問者に紹介されるもうひとつの資産となるでしょう」と、ジョーンズ氏はアラブニュースの独占インタビューにて語っている。
彼は次のように付け加えた。「私たちがやろうとしているのは、こうした素晴らしい自然の資産を利用し、インフラを整備して、信頼できる方法でまとめあげることです。そうすれば、文化、遺産、冒険、料理、芸術に興味のあるお客様をお招きすることができます」観光開発の観点から、委員会はこの18ヶ月間、観光産業を支えるエコシステムの構築に注力してきたとジョーンズ氏は言う。「空港やホテル、レストランが充実しているわけではありませんでした。旧市街も、改装されたり復元されたりはしていませんでした」
また、RCUは観光客向けのアドベンチャーの活性化にも力を入れており、この半年間でジップライン、ハイキング、マウンテンバイク、星空観察、乗馬などが導入された。
委員会は次の課題として新しいホテルとスパに取り組む予定だ。「今後3年間で、アマンには極めてハイエンドなリゾート地が3つできます。またバンヤンツリーやソフィテル、メキシコとアメリカのブランドであるハビタスも建設中です」
ジョーンズ氏によると、アルーラでは今年8月までに新たにホテルの172室が利用可能となる予定とのことだ。ホテルやリゾートにはスパやレストラン、屋外プールなどが設置され、夏には楽しめるようになる。
アルーラのアクティビティは年間を通して行われているが、ジョーンズ氏は10月から4月までが繁忙期で、夏は閑散期になると認識している。
「南フランスに行くと、春から秋までは開いていて、冬になると閉まっていることがあります。閑散期であれば、大変お得な料金でご利用いただけます」と彼は補足する。
「また、自転車レースや砂漠での耐久レースなど、耐久系のアクティビティを活性化させて、夏には別のタイプのお客様にも来ていただけるようにしたいと考えていますし、学生や教育関係のツアーにも力を入れようとしています」
アルーラが主催するもうひとつの主なアトラクションは、夏季に特別なイベントやアクティビティに使用されるマラヤホールだ。「うれしいことに、冷房が効いています」
ジョーンズ氏は、アルーラのすべての建築物は持続可能性、そして自然環境の保護と保全に重点を置いていると言う。
「大きな超高層ビルが建つことはないでしょう。建てられるものや建てられないもの、そして開発方法には厳しい条件があります。自然的にも美的にもすべてのものが環境に適合し、そうでないものを押し付けることはありません」
ジョーンズ氏は、アマンの高級感に対する評価に加えて、2021年から2023年末までの間、委員会は贅沢好きの金持ち旅行者を主な標的にするだろうと述べている。
「ですが、世界のどこにでもあるような豪華なホテルに泊まりに来てほしいとは思いません。本物でなければならないのです」と彼は付け加えた。「ですから、チェックインするときに『ここはロンドンかもしれない、アリゾナかもしれない』と心配する必要はありません。非常にローカルな、アルーラらしいものになるでしょう」
デューンバギーでは、砂漠の生態系を壊すことなく、その美しさを紹介するように設計されたコースを通って山や砂丘を通過する。