
ロサンゼルス:日本の外交官が1年間、毎日その日に折った折り鶴をほぼ同じ内容でインスタグラム動画に投稿している。
「今日は私のシアトルでの365日目です」。米国西部の都市、シアトルの総領事である稲垣久生(いながき・ひさお)氏は、金曜日に投稿した動画の中で語る。
「皆さんの健康と平和を祈りながら、365羽目の鶴を折りました」
昨年8月に渡米した稲垣氏(60歳)にとって、これは勝利の瞬間だった。当時、米国はCovid-19の健康危機の真っ只中にあり、人と人との接触は困難だった。
「折り鶴の記録を始めたのは、パンデミックがきっかけでした」と彼はAFP通信のビデオインタビューに答えている。
「自分のソーシャルメディアを使って、皆様に共感のメッセージを送りたかったんです」
それから、まるで禅の修行のような習慣が始まった。このビデオでは、同じフレームに収められたすべてのビデオで、稲垣は同じメッセージを伝えているが、番号と彼のシャツだけが変わっている。
日本では何世紀にもわたって折り鶴が作られており、長寿の象徴とされている。
稲垣は、「千羽鶴を折ることは、良いことが起こる前兆だと考えられています」と言い、千羽というのは正確な数字ではなく、「たくさん」という意味だと付け加えた。
193日目と194日目の2日間を除き、稲垣は自分の計画と台本に忠実であった。
195日目には、いつもと少し異なる「ただいま!」という声を動画の冒頭に添えてから、元のパターンに戻った。
そして金曜日の投稿では、この日のためにスーツを着た外交官が、折り鶴で作った「365」という数字を披露した。
「毎日投稿するには、シンプルな方がいいと思いました」と稲垣は言う。
そのシンプルさゆえに、稲垣氏のインスタグラムのアカウントは、まるで催眠術のように、1つ1つの10~11秒の動画が独立したパフォーマンスアートのようになっている。
折られた鶴には日付が入り、大きな箱に入れられて保存されているが、シアトルでの投稿が終えたら、稲垣は作品を寄付したいと言う。
「誰かにあげたいのです……この折り鶴を保育園や老人ホームに提供できたら」と。
それまでは、900人近いフォロワーの皆さんに喜んでもらえるように、折り続けます。
360日目には、あるフォロワーが「あなたのビデオを毎日楽しみにしています」とコメントした。
「素敵ですね」と書いてくれた人も。「あなたが私の街に住んでいてくれて嬉しいです」
AFP