サーレハ・ファリード
ジェッダ:米国在住のサウジアラビア人の父親が、彼の一番のファンであり、一番のコーチでもある息子と共に金メダルを獲得するという予想外の出来事が起こった。
ムハンマド・ジュワイード・M・アル・ムハリス・アル・ヤミさんは、知らず知らずのうちに感動的な物語の主人公となっていた。その物語はソーシャルメディアで大きく取り上げられ、世界中のサウジアラビア人の注目を集めた。
アラムコの元社員であるアル・ムハリスさんは、心臓と肺の先天性奇形を患う末っ子のファハド君を連れてテキサス州ヒューストンに移り住んだ。サウジアラビアの病院で何年も治療を受けた後、3人の息子の末っ子であるファハド君は、サウジアラビア政府の支援を受けてヒューストンのトップレベルの病院に転院し、救命のための肺移植手術を受けることとなった。
「私には気晴らしが必要でした。私はブラジリアン柔術のトレーニングが気晴らしになると思いました。トレーニングが大変でネガティブな思考から解放されます」とアル・ムハリスさんはアラブニュースジャパンに語った。
「息子は私の一番のファンであり、私のコーチでもあります。私がトレーニングしている間、彼はいつも私のそばにいてくれます。これは幸せなことです。特にここには私たちしかいませんから」
ブラジリアン柔術は、グラウンドファイトとサブミッションホールドを基本とした格闘技であり、コンバットスポーツだ。比較的巧妙なスポーツであり、相手に勝つためには集中力と作戦が必要だが、アル・ムハリスさんはそれを容易に感じていた。コーチのおかげで、自分でも知らなかった才能を発見することができた。アル・ムハリスさんは、ファハド君が一歩一歩応援してくれることで刺激を受けている。
妻と息子の2人の兄が帰国したこともあり、アル・ムハリスさんは息子の酸素ボンベを肩に担ぎ、移植手術に向けた治療のために毎日病院に同行していた。アル・ムハリスさんは余った時間を柔術のマットの上でトレーニングしていた。
「悲しみや嘆きの感情を取り除くことができました」と彼は語った。
アル・ムハリスさんは、地元の大会で優勝したことで自信をつけ、今週、テキサス州ガーランドのカーティス・カルウェル・センターで開催された「IBJJF柔術ノーギ選手権2021」でブレイクした。
「GI成人155ポンド部門で1位を獲得しました。息子が見守る中、彼の病との戦いの事を思いながら、スリリングなクライマックスで優勝することができました」と彼は語った。
アル・ムハリスさんは、サウジアラビアから異国の地にやって来て世界チャンピオンになった。ハードなトレーニングと努力の結晶だが、ファハド君がそばにいなければ達成できない勝利だった。
「息子と私は誓い合いました。私が戦うときには決してあきらめないと。彼もまた病気と戦い続けるでしょう」とアル・ムハリスさんは語った。