
ナダ・ハミード
ジェッダ:数々のカラフルな熱気球がアル・ウラーの昼間の空を彩り、アル・ウラー遺跡群の上を航行していく。そんな中、サウジ初の熱気球パイロットも飛び立った。
この熱気球ショーは「アル・ウラー・スカイ・フェスティバル」の一環として行われている。同フェスティバルはサウディア航空主催で、2月27日から3月12日まで開催されている。
150機の気球が来訪者を乗せてアル・ウラー上空を飛行し、人々は古代遺跡や火山性平原など素晴らしい砂漠地帯の景色が楽しめる、豊かで冒険的な旅が体験できる。
それらの気球のうち2機を、サウジアラビア熱気球連盟出身の、訓練を受けたパイロットが操縦する。
フセイン・マッカウィ氏とアフラ・アルハルビ氏は、サウジで初めて熱気球のライセンスを取得したパイロット。彼らはまた、SAHABのトレーニングプログラムの最初の卒業生でもある。
マッカウィ氏(32)は民間航空総局に勤務。熱気球パイロット免許取得のためにSAHABの支援を受けたという。
「熱気球を操縦したいと思ったのですが、それよりずっと重要なのは、それがサウジ初の熱気球パイロットの一人になれるという信じられないようなチャンスだったということです。世間で言われる言葉でいえばno-brainer(考えるまでもないこと)でした」と、彼はアラブニュースに語った。
はるか上空にいても、彼は高さを恐れない。「私は概して平和と静けさを楽しむ人間であり、それが気球に夢中になった理由です。スムーズな飛行体験と、気球の中の心穏やかな感覚は、何物にも代えがたいものです」
「熱気球での飛行は、試したことのある人ならわかると思いますが、非常に魅惑的な体験なのです」
SAHABプログラムは、中東初の熱気球パイロットを養成するプログラムである。このプログラムを受けることで、訓練生はEU航空安全局認定ライセンスを取得することができる。
また、国際的なイベントへの参加や、熱気球のスポーツ活動に参加するための資格取得も可能となる。
マッカウィ氏は、このプログラムのおかげで、「気象学、人間のパフォーマンス、飛行による人体への影響、航行術、それに気球の操作・材料・メンテナンス・緊急時の対応についてなど気球についての全て」というような数多くのテーマについて探求することができたと述べた。
また、プログラムには飛行前の準備や気象条件の説明、飛行計画、気球の組み立てと膨張、離陸、航路内の飛行高度、着陸、気球のパッキングなど、実践的な部分も含まれている。
「気球に初めて乗ったのは、オランダでの研修期間中でした。2020年6月のことでしたが、離陸した瞬間から夢中になりました」とマッカウィ氏は語る。
今後は、より大きな気球を操縦できるよう、事業用免許の取得を目指している。
「最初のライセンスでは小さい種類の気球の操縦ができるのですが、ある程度の飛行時間を経験すると、より大きな気球を操縦できるようになります。それが目標です」
世界のさまざまな場所で飛行することは、マッカウィ氏の夢のひとつ。
「旅行や探検が大好きなんです」と語る。
アル・ウラーの訪問者は、係留飛行、または非係留飛行での気球体験ができ、また夕方に来場して「グロー・ショー」の見物もできる。同ショーは、イルミネーションで照らされ、音楽に合わせて「踊る」気球の列の長さでギネス世界記録に登録されている。
アルハルビ氏(21)は、サウジアラビアで初めて熱気球の操縦ライセンスを取得した女性である。
「初めて気球に乗ったのはオランダでの訓練中です。私は文字通り、空にタッチしていたんです」と彼女はアラブニュースに語った。
「その考えは、2年前、アル・ウラーで初めて熱気球を見たときに思いつきました」
彼女は現在、SAHABの指導員として働いている。ユニークであることを心がけ、面白い経験を探求するのが好きだと語った。
「私たちは、飛行に興味のある人すべてに、次回のプログラムへ登録することを喜んでお勧めします。この国の国民がユニークな仕事をすることをサポートする、非常に優れたプログラムです」
アル・ウラーのフェスティバルは、彼女の旅の始まりであり、プロの熱気球の指導者になることを楽しみにしていると語った。
2019年、アル・ウラーで、サウジアラビアで初めて熱気球体験が実現し、この地域で開催される多くのイベントのひとつとなった。
これらのイベントは、サウジアラビア北西部(サウジアラビアで最も美しい観光地の一つとして広く認識されている)にあるアル・ウラーの観光促進において大きな一歩となった。
また、アル・ウラーにはサウジアラビア初のユネスコ世界遺産であるナバタイ文明の遺跡「ヘグラ」がある。