
マンチェスター:バーレーンに籍を置く資産運用会社インベストコープが、セリエAのACミランを買収するための独占交渉に入ったと、関係者が金曜に述べた。成立すれば、中東の投資家による初の伊トップチーム買収となる。
この交渉に詳しいある関係者はロイターに対し、7度の欧州チャンピオンに輝いた同チームを現オーナーのエリオット・マネジメント・コーポレーションから買収する取引は、完了間近であると話した。
クラブの評価額は、負債も含めて10億ユーロ(10億8,000万ドル)程度になる可能性があると、この関係者は述べた。
インベストコープは420億ドルを超える資産を運用しており、その一連の事業分野には、プライベートエクイティ、不動産、絶対収益投資、インフラストラクチャー、クレジットマネジメント、戦略資本などが含まれる。
インベストコープと、2018年にミランを買収したエリオットは、ロイターの取材に対しコメントを控えている。
ACミランの広報担当者は、「ACミランは引き続きピッチでのパフォーマンスを向上させ、クラブを発展させることに注力している」とだけ述べた。
この件の概要を伝えられたという別の関係者は、売却の可能性をめぐりエリオットとインベストコープの間で協議が行われていることを認めた。
ミランはイタリアの最上位リーグで18回の優勝経験を持つが、2011年以降は優勝から遠ざかっており、シルヴィオ・ベルルスコーニと同氏のフィニンベスト・グループの所有下で謳歌した栄光の時代の再現に苦労している。
チャンピオンズリーグでの実績
ACミランは、ベルルスコーニ氏がブラジルのカカやウクライナのストライカー、アンドリー・シェフチェンコなど、世界的に有名な選手数人の獲得に成功した後、2003年と2007年にチャンピオンズリーグのタイトルを獲得した。
ベルルスコーニ氏は2017年に中国の投資家のリー・ヨンホン氏に負債を含めて7億4,000万ユーロでクラブを売却し、その後、エリオットが経営権を握った。
ミランは現在、同じ都市のライバルであるインテル・ミラノに対し、試合数は上回っているものの勝ち点2差をつけて首位に立っている。
クラブは6月30日に終了する今年度の業績を9,640万ユーロ(1億418万ドル)の損失と報告している。前年度は過去最高となる1億9,460万ユーロの損失だった。
エリオットはこれまで、クラブを正式に売りに出したことはなかったが、事情を知る関係者によると、投資家からは関心が寄せられていたという。
イタリアのセリエAの他のクラブでは、インテル・ミラノが中国の蘇寧ホールディングスの所有、ASローマがアメリカのフリードキン・グループの所有となっている。
フィオレンティーナとアタランタもアメリカ人がオーナーである。
中東の投資家はイタリアサッカー界には存在しないが、他のヨーロッパのトップクラブをいくつか支配しており、カタール・スポーツ・インベストメンツがパリ・サンジェルマンを、アブダビ・ユナイテッド・グループがマンチェスター・シティを所有している。
サウジアラビアの公的投資基金も10月に、プレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドの株式の過半数を取得した。
インベストコープ・ホールディングスはバーレーン王国に積を置くバーレーン持株会社だが、昨年、バーレーン証券取引所から上場廃止となった。
モハメド・アラルディが会長を務める同社は、ニューヨーク、ロンドン、スイス、リヤド、バーレーン、アブダビ、ドーハ、ムンバイ、北京、シンガポールにオフィスを構えている。
ロイター