アラブニュース
ドバイ:アラブ諸国が打ち上げた初の惑星間探査ミッションである「エミレーツ・マーズ・ミッション(EMM)」が、火星周辺で新しい形の陽子オーロラを発見したと、UAE国営エミレーツ通信社が報じた。
専門家によると、空間的に変化する「斑状」の陽子オーロラは、火星の大気に関する新しい知見を明らかにする可能性がある。これは、火星の上層大気と外気圏を観察するエミレーツ火星赤外線スペクトロメータが捉えた画像から発見された。
この観測を完全に解析するために、EMMチームはNASAの火星大気・揮発進化ミッション(略称:メイブン)と協力した。EMMの前例のない広範囲のオーロラ画像とメイブンの局所的プラズマ観測の組み合わせは、火星の不可解なオーロラの理解を深めるための新しい道を開くと専門家は語った。
「この斑状の陽子オーロラの発見は、現在EMMが研究している事象の長いリストに新種の事象を加えるもので、火星の昼側の陽子オーロラがどのように形成されるかについての既存の見解に挑戦するものです」と、EMMの科学主任、ヘッサ・アル・マトロシ氏は述べた。
「EMMの探査機ホープはこれまでに、火星の大気と磁気圏ダイナミクスに関する理解を深める、予想外の現象を数多く発見しています。こうした新しい観測は、メイブンのデータと相まって、科学研究の全く新しい可能性を明らかにしたのです」
今回新たに観測された斑状の陽子オーロラは、太陽風が火星の昼側の上層大気に直接衝突し、減速しながら紫外線を放射することで形成される。
オーロラが発生すると、火星の小さな領域がこの波長で非常に明るくなり、大気中のエネルギーが局所的に非常に強く蓄積されていることが分かる。
「NASAのメイブン・ミッションによる陽子オーロラ観測で、この波長の発光は確認されていましたが、EMMのエミレーツ・火星紫外線分光器『EMUS』のこうした画像は、火星の陽子オーロラの空間変動を初めて全体的に捉えたものであり、この斑状の構造を明確に観測できたのは初めてです」と、EMM科学チームのメンバーであるマイク・シャフィン氏は語った。
「この波長は水素原子からのみ放射されることが分かっており、オーロラの発光を生み出すためには、超高エネルギーの水素原子が大気中に存在するはずだということを物語っています」
EMMとメイブンのデータ共有の協定により、EMMの新しい画像はメイブンによるプラズマ観測と連動して解析されることとなった。
「火星の大気の多点観測は、太陽に対する大気の反応をリアルタイムに教えてくれます」とメイブンの主任研究員であるシャノン・カリー氏は述べた。「このような同時観測は、大気のダイナミクスと進化の、基礎物理を探るものです」
「メイブンのデータを利用することは、こうした新しい観測をより広い文脈で捉えるために不可欠です。私たちは、火星だけでなく、太陽風と惑星の相互作用に関する既存の知識の限界に挑戦しようとしているのです」とアル・マトロシ氏は付け加えた。