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「謙虚で愛すべき」宅配ロボットを日本で展開

2023年1月18日、東京都内で、東京を拠点とするロボットメーカーのZMPが開発した配達ロボット「デリロ」が配達用の食品袋を受け取る様子を撮影した写真。(AFP)
2023年1月18日、東京都内で、東京を拠点とするロボットメーカーのZMPが開発した配達ロボット「デリロ」が配達用の食品袋を受け取る様子を撮影した写真。(AFP)
2023年1月13日撮影、東京駅に近い丸の内のショッピング・ビジネス街で、温かい飲み物とスナックを販売するパナソニックの配達ロボット「ハコボ」。(AFP)
2023年1月13日撮影、東京駅に近い丸の内のショッピング・ビジネス街で、温かい飲み物とスナックを販売するパナソニックの配達ロボット「ハコボ」。(AFP)
2023年1月18日撮影、東京を拠点とするロボットメーカーZMPが開発したサービスロボット(左から1人乗り移動ロボット「ラクロ」、警備ロボット「パトロ」、配達ロボット「デリロ」のペア)。東京都内のZMPのサービスステーションにて。(AFP)
2023年1月18日撮影、東京を拠点とするロボットメーカーZMPが開発したサービスロボット(左から1人乗り移動ロボット「ラクロ」、警備ロボット「パトロ」、配達ロボット「デリロ」のペア)。東京都内のZMPのサービスステーションにて。(AFP)
2023年1月27日撮影、神奈川県藤沢市の「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」で、遠隔カメラからのライブ映像を使ってパナソニックの配送ロボットを監視するコントロールセンターの従業員。(AFP)
2023年1月27日撮影、神奈川県藤沢市の「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」で、遠隔カメラからのライブ映像を使ってパナソニックの配送ロボットを監視するコントロールセンターの従業員。(AFP)
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09 Feb 2023 04:02:39 GMT9
09 Feb 2023 04:02:39 GMT9

藤沢市(日本):東京郊外の道路で歩行者をよけながら、「すみません、通ります」と四輪のロボットがかん高い声をあげる。企業が労働力不足と地方の孤立に対処できないかと期待している実験の一環である。

4月から交通法が改正され、日本中の道路を自動運転の配達ロボットが走行できるようになる。

推進派は、この機械が最終的に、過疎化した地方の高齢者が商品を入手する助けになり、同時に慢性的な労働力不足の日本における配達員不足に対処できるとのではないかと期待している。

東京に拠点を置くロボット企業、ZMPの谷口恒社長は、安全性の懸念など、克服すべき課題もあることを認めている。

「人間社会ではまだ新参者ですから、多少の違和感があるのは当然です」と彼はAFPに語っている。

ロボットは完全に単独で動くわけではなく、人間が遠隔から監視し、介入することも可能だ。

谷口氏は、信頼されるようになるには、「謙虚で愛すべき存在」であることが重要だと語った。

ZMPは、日本郵政のような巨大企業と組んで、東京で宅配ロボットの実証実験を行ってきた。

「デリロ」ロボットは、大きな印象的な瞳が特徴で、歩行者に邪魔されると悲しげに涙をたたえるなど、愛嬌のあるロボットを目指している。

「この辺の子どもはみんなロボットの名前を知っていますよ」と、谷口氏は述べた。

この可愛らしさの裏には、重大な目的がある。

日本は世界でも有数の高齢社会であり、国民の約30%が65歳以上である。その多くが過疎化した地方に住み、生活必需品を容易に手に入れることができない。

都市部での労働力不足やトラック運転手の残業を制限する新しい規則も、企業がパンデミックによって急増した電子商取引や配送需要に対応することを困難にしている。

東京と藤沢近郊で配送ロボットを試験的に導入しているエレクトロニクス大手パナソニックのエンジニア、藤川大氏は、「運送業の人手不足は、将来的に課題となるでしょう」と語った。

「私たちのロボットが、必要な場所で活躍し、労働力不足の解消に役立つことを願っています」と彼はAFPに語った。

同様のロボットはイギリスや中国などですでに使用されているが、日本では衝突事故から盗難に至るまであらゆる面で懸念される事がある。

芝浦工業大学(SIT)の内村裕教授(ロボット工学)は、最高速度は時速6㎞(時速4マイル)と規定されているので「衝突しても大けがをする可能性は比較的低い」と指摘する。

しかし、もしロボットが「あらかじめインストールされている位置情報と実際の環境との間に何らかの不一致があるために歩道を外れて移動し、車と衝突してしまったら、それは非常に厄介なことです」と彼は述べた。

パナソニックによると、「ハコボ」ロボットは、曲がるタイミングを自律的に判断するだけでなく、工事や接近してくる自転車などの障害物を検知して停止することもできるという。

藤沢のコントロールセンターでは、1人の人間が4台のロボットをカメラで同時に監視し、ロボットが障害物に引っかかったり止まったりすると自動的に警告が出される、とパナソニックの藤川氏は述べた。

このような場合、また交差点などの危険性の高い場所では、人間が介入することになる。ハコボは、信号機の画像をリアルタイムで撮影してオペレーターに送り、指示を待つようにプログラムされている。

これまで、藤沢市の住民に薬や食料を届けたり、東京で「今日も寒いですね。温かい飲み物はいかがですか?」などと愛嬌のあるしゃべり方でお菓子を売り歩いたりと、さまざまなテスト走行が行われてきた。

東京の街角でハコボから咳止めを買った通行人のかみむらなおこ氏は、「いいアイデアだと思います」と話した。

「人間の店員さんの方が安心できるかもしれないけど、ロボットならもっと気軽に買い物ができます。買うほどのものがなくても、罪悪感を持たずに帰ることができます」と語った。

当局は、人間の雇用を守ろうという圧力から、日本の街中にすぐにロボットが溢れるようになるとは考えていない。

この技術を推進する通商産業省のかんだひろき氏はAFPに対し、「雇用の問題があるので、すぐに劇的な変化が起こるとは思っていない」と述べた。

「ロボットの普及は、もっと緩やかなものになると思う」

SITの内村氏のような専門家は、この技術の限界を認識している。

「人間が行う最も単純な作業でさえ、ロボットが模倣するのは難しいのです」と彼は言う。

内村氏は、まず人口の少ない地方でロボットを展開することが最も安全だと考えている。しかし、企業は、都市部では需要があり、都市部で展開するほうが商業的に採算が合いやすいと言う。

ZMPの谷口社長は、最終的にはあらゆる場所でこのロボットが活躍することを望んでいる。

「通信技術が発達して、宅配ロボットが近所のパトロールをしたり、高齢者の安否確認ができるようになれば、喜ばれるのではないでしょうか」と彼は述べた。

「日本はロボットが好きです」

AFP

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