レベッカ・アン・プロクター(Rebecca Anne Proctor) & モハマド・アル – キナーニ(Mohammed Al-Kinani)
ジーザーン:火曜日に終了したコーヒー豆フェスティバルに参加するため、多くの生産者やその家族がサウジアラビア・ジーザーン州東部に位置する山間地、アル・ダイヤー県に7年連続で集結した。
6日間にわたって開催されたフェスティバルには、前年のほぼ3倍となる200の生産者が参加。周辺地域で生産されたさまざまなコーヒー豆や、その香りや味を試そうとする来場者に多彩なコーヒー製品を披露、販売した。
ジーザーン州はカウラニ・コーヒーの産地として最もよく知られているが、今年のフェスティバルにおける来場者や生産者、各種イベントの増加はこの地域における明白な変化を示しており、自然景観や伝統、経済的機会を求めるますます人気が高まっている。
[caption id="attachment_9084" align="alignnone" width="800"] ジーザーン・コーヒー豆フェスティバルで、自分のブースに客を勧誘する高齢の店主。(Mohammed Albaijan撮影)[/caption]イベントでは来場者向けのプログラムを拡充。映画館ではコーヒーの重要性を描いた映画が上映され、同地域に住む女性たちが作る家庭料理を提供する屋台が並び、ジーザーンの豊かな歴史を紹介する地元の博物館が取り上げられた。また、地元産のハチミツや香水、衣類、宝石などを販売する店舗がいくつも並び、地元産のコーヒー豆も取り上げられた。受賞歴を持つコーヒー生産者のフセイン・ハディ・アル=マルキ(Hussain Hadi Al-Malki)氏は、「今年のフェスティバルは昨年と比べてかなり規模が大きい」とアラブニュースに語った。
「生産者の数は増えています。民間企業がコーヒーに投資するようになったのです。来場者の数も年々増えています」
アル・ダイヤー県の出身であるアル=マルキ氏はさらに次のように述べた。「一部の若い生産者は、コーヒーを展示し宣伝するために近代的な技術を利用していいます」「また、製品を保存し、その魅力的な香りを出来るだけ長く保つために、特殊な包装材を使用しています」
フェスティバルではコーヒーの新たなブランドを5つ以上紹介。いずれもジーザーンの若い生産者によって作られている。
「今年はおよそ100人の女性が参加し、昨年と比較して70%増えました」Al-Salmaの観光委員会委員長のモハマド・ジブラン・アル=マルキ(Mohammad Jibran Al-Maliki)氏は説明。
https://youtu.be/A_mQNNm_83s
また、自家製の食品を販売するスアダ・アル=アリリー(Suada Al-Aleely)氏はアラブニュースに、家族や友人が集う社交場としてのフェスティバルの重要性を指摘した。「フェスティバルでは自家製のドルマやアシーダなどの伝統料理を販売するだけではなく、友達と会って一緒に楽しい時間を過ごすことができます」
アル=マルキ氏はその見解に同調し、コーヒー豆の生産はジーザーン州の経済と社会の両方を変えたと語った。
「コーヒー農家以外にも多くの人たちがこのフェスティバルに参加しています。ここでは家族が手作りの食べ物を売ったり、古いものに興味がある人たちがコレクション品を披露したりしています」「長期的に見れば、より多くの観光客を呼び込むことで、この地域の経済に発展をもたらすことができるでしょう」
ジーザーン州はコーヒーの他にも多くの巨大プロジェクトの拠点となっていることから、サウジアラビアは同地域のインフラ整備に数十億ドルを投入。サウジアラビアの国有石油会社、サウジアラムコは現在、同地域の主要な石油・ガスプロジェクトであるジーザーン製油所およびターミナルを完成させつつある。また、紅海にはターミナル施設が併設されている。
[caption id="attachment_9085" align="alignnone" width="670"] ジーザーン州特産のカウラニ・コーヒー豆が地域の経済状況を変えた(Mohammed Albaijan撮影)[/caption]また、ジーザーン政府も地元の観光産業の発展に力を入れている。実際、アル・ダイヤー県は既に世界各地から観光客を受け入れ始めている。
コーヒー豆フェスティバルの3日目、アル=マルキ氏によると、Mefrazのブースにはアラブ圏以外からの観光客が10人訪れたという。
「4人はアメリカから、その他はヨーロッパから来ていました」と彼はアラブニュースに語った。
「フォークダンスやライブパフォーマンスなど、私たちの文化を紹介する来場者向けプログラムを用意しました」
長年の経験を持つ生産者であり、モデル農場のオーナーでもあるアフメド・ジュブラン(Ahmed Jubran)氏は、昨年のコーヒー豆生産量は119トンだったが、今年は最大で336トンに達するだろうと述べた。
同氏によると、アル・ダイヤー県の生産は65%に達しており、来年は生産が倍増する見通しだ。
同時にこの地域の生産者は、コーヒー工場、研究所、リサーチセンターの建設が進行中であると環境・水・農業省から伝えられている。「2040年までにはすべてを自分たちで賄えるよう計画しています」「現在は約158,000本の木が植えられていますが、2030年までには100万本に増やし、生産量は5,000トンに達するでしょう」
「2050年までには輸出を開始する予定です」とジュブラン氏は言う。その未来は予測より早く来るかもしれない。ジュブラン氏は、目標を早期に達成するよう政府が農村開発プログラムに120億リヤル(32億ドル)を割り当てたことを明らかにした。
同時に「持続可能な農業農村開発プログラム」は、果物、魚、家畜、コーヒー、天水栽培による穀物の生産量増加および加工と販売促進を目的としている。このプログラムはジーザーン州への農業投資を促進するだけではなく、セクターの多様化、小規模農家の所得向上、雇用機会の創出、食の安全、持続可能な開発にも貢献している。
コーヒー豆フェスティバルが終わり、未来はかつてないほど明るいように見えた。
サウジアラビア文化省のバドル・ビン・ファルハン王子(Prince Badr bin Farhan)はツイッターで、「ジーザーン州におけるコーヒー生産の未来はあらゆるレベル成長している」とコメント。「文化的に、コーヒー豆の栽培は数百年にわたり受け継がれてきた無形遺産と考えられている」とした。
さらに「経済的な面では将来有望な投資であり開発部門だ。生産者の強い意志とアル・ダイヤー県の人々の情熱を誇りに思う」と続けた。