2019年、リヴァプール(レッズ)はチャンピオンズリーグでスリリングな戦いを繰り広げ、バルセロナを4-0で破り、決勝ではトッテナムに2-0で勝利し、ヨーロッパの王者に輝いた。
その翌シーズン、レッズはイングランド・プレミアリーグを制し、30年ぶりの国内リーグ優勝を果たした。そして2021年から2022年にかけてはFAカップとリーグカップを制したものの、リヴァプールは歴史的な4冠にはあと一歩届かなかった。
2020年のFIFAクラブワールドカップの勝利も加わり、ユルゲン・クロップ監督が作り上げたリヴァプールは、文字通り勝つべきものはすべて勝ち取った。
その黄金期を支えた選手たちは、アンフィールド・スタジアムの伝説となった。
必然的にそのようなチームは時間の経過とともに分解していくものだが、2023年の夏までに、クロップ率いるクラシックな先発メンバーの3分の1以上が、サウジアラビアで初シーズンを迎える準備をしているとは、誰も予想していなかっただろう。
最初にやってきたのは、契約切れのロベルト・フィルミーノだった。このブラジル人はアル・アハリと契約していた。そして、エティファクの新ヘッドコーチ、スティーブン・ジェラードの呼びかけに応えたジョーダン・ヘンダーソン、そして、王者アル・イテハドに加わったファビーニョというもう一人のMFがすぐに続いた。最新の到着者は、バイエルン・ミュンヘンを離れてアル・ナスルに移籍したサディオ・マネだ。
ここ数週間、チェルシーからカリドゥ・クリバリ、エンゴロ・カンテ、エドゥアール・メンディが南下してきているが、元レッズの4人組はアンフィールド時代に大きな影響力を持った選手であり、クロップ監督の革命には欠かせない存在だった。
フィルミーノは、モハメド・サラー、マネとともに、リヴァプールを新たなレベルに押し上げた前線3人の一人だった。このブラジル人はシュートを決め、得点し、また物事を実現させた。クロップ監督にとって、彼はそばにいて欲しい一人だろう。31歳の彼はチームを第一に考えるスター選手でもあり、ジェッダでも目立つ存在になるはずだ。
最も意外だったのはヘンダーソンの移籍だろう。フィルミーノがフリーエージェントとなり、新たな移籍先を求めていることは誰もが知っていたが、このイングランド人MFは、プレシーズンの準備を始めようとしていたチームのキャプテンであり、33歳の彼が去ろうとしていることを示唆するような発言は一切なかった。エティファクとジェラードコーチが恩恵を受け、リヴァプールが失うのは、彼のスキルだけでなく、豊富な経験とリーダーシップの資質である。
これらはしばらく前から決まっていたことだが、今週は動きがあった。月曜日には、ファビーニョがあの有名なイテハドのシャツを掲げていた。2018年5月にこのブラジル人がリヴァプールにやってきたとき、彼はクラブの黄金時代の始まりを示したと言えるかもしれない。4年前のバルセロナとの準決勝セカンドレグ(第2戦)で4-0と圧勝し、リヴァプールが2005年以来のコンチネンタル・タイトルに迫ったとき、彼は圧倒的なプレーを見せていた。
興味深いことに、アル・イテハドがアジアチャンピオンになったのは2005年が最後である。しかし、このブラジル人MFを手にした今、彼らの待ち時間は終わりに近いかもしれない。ファビーニョは何年もの間、世界のトップレベルでプレーしてきた。そして今、彼はすでに非常に強力に見えるチームに加わる。
王者アル・イテハドは5月のサウジアラビアリーグ優勝以来、すでにカリム・ベンゼマ、カンテ、ジョタをチームに加えていたが、ヌーノ・サント監督は才能に満ちた同チームにファビーニョを加えた。このMFが、同じく港町であるリヴァプールで過ごしたのと同様の思い出をジェッダで作ることができれば、タイガース(アル・イテハド)のファンは楽しい時間を過ごすことになるだろう。
2019年、リヴァプールのアシスタントマネージャー、ペップ・ラインダースはこのスター選手に賛辞を送った。
「私たちが望む、そして私たちが好む『組織化されたカオス』の中で、彼は灯台のような存在だ。彼はそれをコントロールする。それによって私たちは、監督のスタイル、そして私たちがどうありたいのかを保ち続けることができるのだ」
クロップ監督はファビーニョのことを、そのクリーンナップ能力から「ダイソン」というニックネームで呼んでいたとも言われているが、サウジアラビアのファンなら必ず知ることになるように、彼のプレーにはそれ以上のものがある。
しかし、バイエルンからマネを獲得したことは、今回の移籍の中でも、で最も大きな意味を持つかもしれない。
彼はフィルミーノとともに、あの全制覇を成し遂げた攻撃の一翼を担っていた。彼の母国セネガルでは、昨年のアフリカ・ネイションズカップでチームを優勝に導き、ワールドカップ出場権を獲得したときの主要な人物であったが、怪我のため大会を逃した。
それはまた、彼のバイエルン・ミュンヘンでの唯一のシーズン――彼は昨年夏、このドイツの巨人に加入した――が思ったほどではなかったことも意味した。怪我をする前のマネは素晴らしかったが、大会後に戻ってからは、シーズン初めに見せたようなプレーを再現するのも苦戦した。
しかし、彼の実力は本物だ。クリスティアーノ・ロナウド、アンデルソン・タリスカ、セコ・フォファナ、マルセロ・ブロゾビッチ、アレックス・テレスたちとともにリヤドでプレーするマネに、アル・ナスルのファンは期待するだろう。
これだけでも世界中のファンを注目させるには十分だが、クロップ監督と何百万人ものリヴァプールのファンたちは、他の多くの人々よりも、過去を思い出し、感動するかもしれない。