ワシントン時事:米スミソニアン航空宇宙博物館が、原爆投下直後の広島、長崎の写真の展示を計画していることが分かった。2025年に予定している第2次世界大戦に関する展示内容の刷新に合わせ、これまで展示説明になかった原爆被害にも言及する見通しだ。
博物館関係者が2日、時事通信の取材に明らかにした。ワシントン郊外にある同博物館の新館では、1945年8月6日に広島に原爆を投下した米軍のB29爆撃機「エノラ・ゲイ」を復元し、展示してきた。しかし、これまでは原爆被害に全く言及していなかったことから、広島、長崎の被爆者から抗議の声が上がっていた。
同博物館では95年、原爆被害の展示を含む特別展が計画された。しかし、退役軍人団体などが「原爆投下は正当だ」と反発し、事実上の中止に追い込まれた。騒動の責任を取り、当時の館長は辞任した。
25年の新たな展示は「空中の第2次世界大戦」という名称。「大戦中に航空戦が果たした役割を幅広くカバーする」(関係者)内容で、エノラ・ゲイと共に原爆投下に関する説明も付す予定だ。ただ、博物館は展示する広島、長崎の写真の詳細に関しては「検討中のためお伝えできない」としている。
原爆投下に関する米国民の見解は割れている。調査会社ユーガブが20年8月に米国の成人を対象に実施した世論調査では、原爆投下を「正しかった」とする回答は39%、「間違っていた」との回答は33%、「分からない」は25%だった。
世代によって受け止め方も異なり、45歳以上では「米国は日本に謝罪する必要はない」との回答が多数を占めた。一方、44歳以下の世代では「謝罪すべきだ」という回答の方が多く、若い世代ほど原爆に批判的な傾向があった。
時事通信