


東京:コロナによるロックダウンやネットフリックスの新ドラマで興味をそそられた外国人観光客が、閉ざされた相撲の世界を覗こうと日本に押し寄せている。
数百年の歴史をもち伝統に満ちた日本の国技は、長い間、国外の人々を魅了してきたが、業界関係者によれば、近年、急速に関心が高まり、新たな注目を最大限に活用している人たちもいるという。
先日ランチタイムでの「パフォーマンス」で、2人の大きな力士が、歓声を上げる観光客であふれる東京のレストランに堂々と登場した。
観客たちは巨体の力士たちとセルフィーを撮り、パッド入りの相撲衣装とかつらをかぶって、古来の技に挑戦し引退したプロとひと勝負した。
「子供たちも楽しみました。私も、彼らと戦うのが楽しかったです」とアリゾナ州出身のキアナン・ライリーさん(42歳)は言った。
「彼らのショーはとてもよかったです。間違いなく旅のハイライトのひとつでした」
週3回開催されるこのイベントのチケットは、英語での解説と豪勢な食事付きで、1枚11,000円(76ドル)だが、6週間先まで完売している。
スターの一人は元トッププロ力士の佐久間貴之氏、旧四股名「常幸龍」だ。彼は身長187cm(6’2”)、最盛期には170Kg(375lb)もあった。
「プロになると、相撲に人生がかかっています」と引退した35歳の元力士はAFPに語った。「そして、それを軽んじてはいられません」
「しかし、人々に楽しんでもらうために、私たちはユーモアを加えました。一番大切なのは、文化としての相撲を理解してもらうことです」
元アマチュア力士のジョン・ガニング氏は、母国アイルランドを代表して戦ったことがあるが、日本のテレビ番組で英語で解説をし、ここ5年から10年の間に、このスポーツの海外での人気は「非常に高まっている」と述べている。
その人気はコロナ禍の最中にさらに高まり、ロックダウン中に行動を制限されていた人々は新たな興味を探求した。
また、相撲界を舞台にしたネットフリックスの新シリーズ「サンクチュアリ」が今年公開されたことも、相撲を新たな視聴者に紹介するのに役立った。
「あれで初めて相撲に触れたという人がたくさんいます」とガニング氏はAFP通信に語った。
日本相撲協会は昨年、YouTubeの英語チャンネル「Sumo Prime Time」を開設し、その動画は数万回再生されている。
ケン・ミラーさん(68歳)は、アメリカ人観光客のグループに国技館を含む相撲のメッカである両国を案内している。
一人当たりの料金は数百ドルで、来年は予約がいっぱいだという。
国技館では年に3回(1月、5月、9月)、1万人以上のファンを前にして、相撲のトップスターたちによる大相撲本場所が開催される。
「相撲は単なるスポーツではなく、文化の一部なのだと(観光客に)説明するように努めています。仏教や神道と深く結びついています」とミラーさんはAFPに語った。
「これは生き方なのです」
観光客は長い間、神聖なものとされる「部屋」の内部、力士たちが厳しい伝統に従って生活し、稽古に励む伝統的な「稽古部屋」を見学することができる。
しかし、関心の高まりから、多くの相撲部屋は個人見学を禁止し、代理店を通して予約した団体ツアーのみを許可している、とガイドのきむらゆりこさんは述べた。
「私たちが相撲部屋の稽古の見学ツアーを始めた頃は、週に1、2回催される程度で、相撲のことは知られていませんでした。しかし、2018年から2019年にかけて急増しました」とAFPに語った。
「大切なのは、部屋や力士に敬意を払うことだと伝えています。他の国から来た人たちが注意事項を知っていれば、間違ったことはしないでしょう」
部屋の中では、力士の稽古の邪魔にならないよう、見学者は静かに座っていなければならない。
東京都心にある荒汐部屋には大きな出窓があり、稽古を見ようと毎日何十人もの人が集まってくる。
この出窓を設置した元親方の妻、鈴木ゆかさん(61歳)は、本来の目的は、大相撲は「秘密主義」という世評を払拭することだったと語る。
「でも、地元の人たちではなく、世界中の人たちが来るようになりました」と彼女は言う。
その結果として、日本人が国技を再発見し始めるようになればいいし、相撲が生き残るためにはそれが一番大事だ、と彼女は付け加えた。
「若い力士たちは自分を試すためにこの(相撲の)世界に入ってきました。でも、そう思う日本人がだんだん少なくなれば、相撲もなくなってしまいます」と彼女は語った。
AFP