東京:日本は今年、2000万人の訪日観光客を見込んでいる。旅行業界にとっては好材料だが、富士山にはますます多くの外国人がこの神聖な山に殺到し、オーバーツーリズム(過剰観光)に頭を悩ませている。
コロナ後の富士山への来訪者数は昨年の2倍となり、10年ぶりに30万人以上に達する勢いだ。しかし、地元当局は環境への悪影響を懸念しており、3776メートルの峰を訪れる多くの外国人が登山に伴うルールや安全問題を理解していないのではないかと懸念している。
頂上までは整備されたルートもあれば、かなり急で登るのが困難なルートもある。準備をせずに間違った道を選ぶと危険だ。山は急激な天候の変化に見舞われやすく、夏の登山シーズンには気温が30度になることもあれば、頂上付近では1桁の温度で風や雨になることがあり、適切な衣服や飲食物を用意する必要がある。
富士山はユネスコ世界遺産登録10周年を迎えた。山梨県の長崎幸太郎知事は、山の美しさを守るために地方自治体として行動を起こす必要があると考えている。
知事は火曜日、日本外国特派員協会で会見し、「富士山が直面する危機を共有する必要がある」と述べた。 「5合目への来訪者は、世界遺産になってから2倍に増えた。世界遺産委員会は訪問者の数を減らすよう求めていたが、正反対の状況になっている」
5合目周辺は、観光客の流入、特に大型観光バスによる衛生や車両の排ガスの面で苦労している。
知事の答えは、観光客の受け入れ地域のインフラを改善するだけでなく、有料自動車道を廃止し、環境にやさしい次世代型路面電車(LRT)を建設することで訪問者数を制限することだ。
「鉄道は景観に溶け込み、環境への被害を回復するのに役立つだろう」、「できる限り地元の人々と課題解決に向けた議論を進めたい」と長崎氏は語った。
頂上への登山の出発点に最も近い駅は約30キロ離れているため、現在は自動車を利用しなければならない。山梨県は車両の制限だけでなく、過密状態が登山をさらに危険にしていることから、登山者の人数規制を検討している。