
環境省は11日、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に関し、国際原子力機関(IAEA)や中国、韓国、カナダの専門家を受け入れ、16~23日に放出口周辺で海水や水産物などの試料を共同採取すると発表した。国内や3カ国の研究機関などで放射性物質の濃度を分析し、IAEAが約1年後に評価報告書をまとめる。
中国は処理水放出に反発し、日本産水産物を全面禁輸している。先月ウィーンで開かれたIAEAの年次総会では、中国の代表が処理水について「核汚染水」との呼称を用い、日本の対応を批判した。
試料の採取は、処理水放出後の海域モニタリングに関する国際的な信頼性の確保や風評被害防止が狙い。今回参加する中韓など3カ国はIAEAが選定した。
処理水放出口の周辺海域では東電が海水の放射性物質トリチウム濃度を毎日測定。環境省や水産庁なども海水や水産物を検査しているが、国の基準値をすべて下回っている。
時事通信