


岸田文雄首相は26日、「ジャパンモビリティショー」が開催中の東京ビッグサイト(東京都江東区)を訪れ、トヨタ自動車の豊田章男会長や経団連の十倉雅和会長らと会談した。脱炭素化の流れが加速し、世界的に電気自動車(EV)へのシフトが進む中、日本の産業界が国際競争力を維持していく方策について意見交換。首相は「官民協力の下、全力で取り組んでいきたい」と述べ、投資促進などを進める考えを示した。
会談には、自動車産業の成長戦略などを議論する経団連の「モビリティ委員会」のメンバーや、西村康稔経済産業相ら関係閣僚が参加した。首相が自動車業界首脳と意見交換するのは、昨年11月以来1年ぶりとなる。
自動車産業は裾野が広く、雇用など経済への影響が大きい。首相は「賃上げや取引適正化、国内投資への積極的な取り組みを政府として高く評価している」と指摘。「日本経済の大きな流れを後戻りさせず、来年につなげていく」と経済活性化に意欲を示した。
中国や欧米各国がEV普及に力を入れる一方、日本の出遅れは鮮明で、政府は巻き返しを急ぐ考え。EVの中核部品となる蓄電池を経済安全保障上の重要物資に位置付け、サプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化に取り組むほか、重要物資の生産投資を後押しする減税制度の創設も検討中だ。
会談後に取材に応じた豊田氏は、「政府・経済界が協力し合う関係をつくった方が、EVでも自動運転でも競争力がある体制ができると確認できた」と話した。