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ジャパンモビリティショー:電気自動車の巻き返しを図る日本の自動車メーカー

2023年10月25日、ジャパンモビリティショーのプレスデーにて、ソニー・ホンダモビリティが展示する「アフィーラ プロトタイプ」。(AFP)
2023年10月25日、ジャパンモビリティショーのプレスデーにて、ソニー・ホンダモビリティが展示する「アフィーラ プロトタイプ」。(AFP)
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27 Oct 2023 08:10:08 GMT9
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東京:「私たちはEV(電気自動車)が大好きです」トヨタの電気自動車部門トップの加藤武郎氏は、自身が考える今年のジャパンモビリティショーのメッセージを強調するため、この発言を一度のみならず二度行った。

このメッセージは、11月5日まで東京ビッグサイトで開催中のジャパンモビリティショーからはっきりと感じ取れるものであり、バッテリー式の電気自動車は事実上すべてのブースで目玉となっている。

マツダは代名詞であるロータリーエンジンを搭載したプラグインEVのコンセプト・スポーツカーを目玉にしている。

ホンダは「プレリュード」のスポーツカーEVコンセプトを推している。トヨタの無駄がなく角のある形状の「LEXUS」コンセプトカーは、リチウムイオン電池で駆動する電気自動車で、2026年の販売が予定されている。

ゼネラル・モーターズやフォードといった米国の自動車メーカーはこの数年参加がなく、今年も展示は行わない。日本の自動車売上において米国車の割合はごくわずかで、依然として国内メーカーが強い日本市場に食い込むことに苦労している状況だ。

外国メーカーからは、長年に渡って日本人に愛好されているメルセデス・ベンツ、中国のBYDなどが参加している。
加藤氏は、上述の発言を繰り返した理由はトヨタがEVに十分な愛情を注いでいないという認識をもたれているのではないかという不安によるものではないと述べた。

トヨタの重役らは、日本のトップ自動車メーカーである同社が米国のテスラや中国のBYDをはじめとするライバルに遅れを取ってきたことを認めている。この要因のひとつには、「プリウス」に代表される、ガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせたトヨタのハイブリッド車のこれまでの成功がある。

トヨタは既に、小型の2シーター「C+pod」と、グループ企業であるスバルと共同開発した「bZ4X」を販売しているが、それ以外にラインナップは充実しているとは言えない。そんな同社が真剣に巻き返しを狙っているというわけだ。

トヨタ初の本格EVとなる「LEXUS LF-ZC」は、依然として世界市場に占める割合は小さいながらも、気候変動への対応などが優先される背景のなかで急速に成長しているこの分野でトヨタがどの程度通用するのかを試す、真のテストになるだろう。

国際エネルギー機関によれば、日本の自動車市場におけるEVの割合は5%未満だ。テスラが市場の大半を占める米国も自動車販売におけるEVの割合は10%未満だが、ジョー・バイデン大統領は2030年までに米国における新車販売の少なくとも54%をEVにする規制を推し進めている。中国では、自動車販売の3分の1がEVだ。

昨年、テスラのEV車の世界販売台数は前年比で40%増加し、131万台だった。BYDはBYDのEV販売台数は、プラグインを含めて185万台強だった。

他方のトヨタは、昨年のEV世界販売台数は2万5,000台未満だった。だが、今年初めからの8カ月間におけるEV販売台数は6万5,000台で、その大半は国外での販売が占めている。トヨタは2026年までに150万台、2030年までに350万台の年間EV販売を目標に掲げている。

「私たちは、お客様と共に電気の未来を築いていくことを楽しみにしています」加藤氏はそう述べた。

BMIのシニア自動車アナリストであるジョシュア・コブ氏によれば、巻き返しは困難だが不可能ではないという。

「短期的には、現時点で競争がほとんどないためBYDや上汽通用五菱汽車(SAIC-GM-Wuling)をはじめとする中国ブランドのEVや、テスラのEVが引き続き市場シェアを獲得し続けていくでしょう」コブ氏はそう話す。

だが、コブ氏は次のように続ける。「日本の強いブランド・ロイヤルティを過小評価すべきではありません」。コブ氏は、国産モデルがさらに市場に増えてくるまで日本の消費者はEVの購入を控えているのではないかと言う。

2010年に「リーフ」を発売し、日本のメーカーとしてはEV参入が早かった日産は、4台のEVコンセプトカーを展示している。

そのうちの1台は、自動運転などの先進技術を搭載していると日産が語るミニバンコンセプトカー、「ハイパーツアラー」だ。同車はエネルギー密度の高い全固体電池で駆動する。

シニアバイスプレジデントを務めるアルフォンソ・アルベイザ氏によると、日産は仮想現実(VR)をはじめ、自動車デザイナーのモデル開発時間短縮を可能にするブレイクスルーに注力しているという。

“ゲームなどの他分野と同じく、日産はデジタルシフトに向けて突き進んでいます」アルベイザ氏はそう話す。

さらに各メーカーが、EV技術によって自動車の走行のあり方に変化がもたらされることに言及している。

一般にEVの電池とモーターはガス燃焼エンジンよりも必要スペースが小さい。これは、EVが低重心かつ車室内の空間をより広く確保でき、スポーツカー、バン、ピックアップトラック、SUV向けにより効率の良いパワートレインを実現できることを意味する。

日産やその他のメーカーにとって、EVの課題の鍵となるのはバッテリーの充電時間と航続距離だ。世界の主要自動車メーカーが充電時間の短縮と1回の充電あたりの航続時間増加に取り組んでいるなか、米国のスタートアップ企業Ampleは、バッテリー交換という別の解決策を考案した。

車のバッテリーを充電するのではなく、専用のドライブイン施設でバッテリーを内包するモジュールを取り出し、完全に充電済みのバッテリーに交換するのである。交換はロボットが行い、所要時間はわずか5分だ。

このアプローチは、すでにサンフランシスコのウーバードライバーによって利用されている。Ampleのバッテリー交換は、ダイムラー・トラック傘下の三菱ふそうとのパートナーシップにより、この冬日本に上陸予定だ。このバッテリー交換は、三菱ふそうのブースでデモが行われている。

Ample創業者で社長のジョン・デソウザ氏によると、バッテリー交換のもう一つの魅力はエコにあるという。電力需要の少ない時間帯には再生可能エネルギーを利用し、バッテリーを柔軟に充電できる。

「我々は、数分間車を停めれば良いという点がガソリンの非常に優れた点だったと判断したのです」デソウザ氏はそう述べた。

AP

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