岸田文雄首相は15日夜、米国に向けて政府専用機で羽田空港を出発した。サンフランシスコで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する。現地時間の16日にも中国の習近平国家主席との首脳会談を調整している。
首相は出発に先立ち首相公邸で記者団に、「自由で開かれた貿易やデジタル経済の推進、気候変動などについて議論を行い、日本の立場を発信したい」と意気込みを語った。日中首脳会談は「現在のところ決まっていない」としつつ、「建設的かつ安定的な関係を維持するため、さまざまな形で意思疎通を行っていきたい」と述べた。
首相と習氏の会談が実現すれば、昨年11月にタイで実施して以来、約1年ぶり。東京電力福島第1原発の処理水放出を受けた中国による日本産水産物の輸入禁止措置について、首相は撤廃を求める考え。
韓国の尹錫悦大統領とも16日に会談し、関係強化を確認する。日韓首脳は翌17日にスタンフォード大学で、先端科学技術をテーマにした討論会に出席。次世代エネルギーとして期待される水素やアンモニアの共同調達網の構想を表明する見通しだ。
首相は米国のバイデン大統領との会談も模索。APEC首脳会議では自由で開かれた貿易投資の推進を訴える。日米など14カ国による経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の首脳会合にも参加する。19日に帰国する。
時事通信