東京：怒りをあらわにした野党議員らは3月1日に解任決議案を提出し、資金集めの慣行についての問題で混乱が生じたことにより、十分な審議もなく与党が予算案を強引に通過させようとしていると非難した。

野党議員らは、自民党の主要派閥のメンバーがつくった裏金や、その資金の使い道について詳細な説明をしなかったとして岸田文雄首相を非難した。

岸田文雄首相は2月28日、生中継された国会の政治倫理審査会に出席し、政権を揺るがしている問題について謝罪した。首相が政治倫理審査会に出席するのは異例だ。

岸田首相は政治資金規正法の改正も提案しているが、政治倫理審査会に出席した目的は、この問題に関する議論を終わらせ、何度も先送りされている112兆円（7440億ドル）の予算案の早期成立を図るためだと見られている。

3月1日、自民党に所属する小野寺五典予算委員長がこの日午後に予算案の採決をする日程を決定したことに対して、野党議員らは怒りをあらわにした。野党議員らは小野寺予算委員長の解任決議案を提出し、予算について十分に議論せずに予算案を強引に通過させようとしているとして小野寺氏を非難した。与党が国会で多数を占めているため、解任決議案は否決された。

岸田首相は裏金疑惑が発覚して以来、支持率の急落に対してさまざまな手を打ってきた。多くの閣僚や党役員を更迭したが、岸田内閣の支持率は20％程度にまで落ち込んでいる。

問題の焦点は、党のイベントで販売したパーティー券を通じて集めた、報告書に不記載の政治資金だ。この問題で、今年1月に議員とその側近など10人が起訴された。

80人以上の与党議員が、政治資金について報告書への不記載があったことを認めた。80人のうち大半が、暗殺された安倍晋三元首相が以前率いていた党の主要派閥に所属しており、報告書への不記載は政治資金規正法違反の可能性がある。長期にわたる慣行から受け取った資金は、監視を受けない裏金に流れたとされている。

3月1日、西村康稔前経産相と松野博一前官房長官という著名な安倍派議員2人が政治倫理審査会に出席し、自身は裏金の管理に関与していないと主張した。

西村氏と松野氏によれば、安倍元首相は透明性が欠けており国民の不信を招く危険があることから、2022年にこの慣行を終わらせるよう提案したという。両氏は、安倍元首相が死去した後何らかの理由でこの慣行が再開されたが、その理由はわからないと述べた。

松野氏は過去5年間、報告書に不記載の約1000万円（6万6500ドル）の資金を派閥から受け取っていた。その後は報告書への記載を行っている。松野氏は秘書が現金を受け取ったことを認めた。現金は事務所内の金庫に保管されていた。松野氏は、還付金は政治活動以外には使われていないと述べた。

解任決議案についての審議は、1日の午後に開かれた政治倫理審査会で行われた。政治倫理審査会には安倍派の議員がさらに二人出席した。

政権与党の影響下にある政治倫理審査会には、議員が政治倫理に違反し、責任を負うべきかどうかを判断する任務があるが、政治評論家らによれば、政治倫理審査会はほぼ形だけのものであって、本格的な調査はほとんど期待できないという。

AP