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アッバース大統領、「米国はガザの子どもたちの流血に責任」 国連での拒否権発動受け

アッバース大統領は、イスラエルとパレスチナ人の対立は憂慮すべき段階に達しており、国際会議と世界の大国による保証が必要だと述べた。
アッバース大統領は、イスラエルとパレスチナ人の対立は憂慮すべき段階に達しており、国際会議と世界の大国による保証が必要だと述べた。
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09 Dec 2023 11:12:22 GMT9
09 Dec 2023 11:12:22 GMT9

ラマッラー/パレスチナ自治区:パレスチナのマフムード・アッバース大統領は9日、国連安全保障理事会の特別会合にて、パレスチナ自治区での即時停戦を求める決議に拒否権を行使した米国は、ガザ地区の子どもたちの「流血に責任がある」と述べた。

「大統領は、米国の立場を攻撃的で非道徳的なものであり、あらゆる人道上の原則と価値観に対する明白な違反であるとし、ガザ地区におけるパレスチナの子ども、女性、高齢者の流血の責任は米国にあるとしている」とアッバース大統領の事務所は声明を発表した。

パレスチナのマフムード・アッバース大統領は8日、ガザでの戦争を直ちに終結させ、パレスチナ国家の樹立につながる永続的な政治的解決策を練るための国際和平会議を開催するよう呼びかけていた。

87歳のアッバース大統領はラマッラーにある事務所でロイターとのインタビューに応じ、イスラエルとパレスチナ人の対立は憂慮すべき段階に達しており、国際会議と世界の大国による保証が必要だと述べた。

彼は、ガザでのハマスとのイスラエルの戦争に加えて、イスラエル軍が過去1年間で占領中のヨルダン川西岸地区全域で攻撃を強めており、入植者たちはパレスチナの町に対する暴力をエスカレートさせていると述べた。

彼は、長期にわたる占領を終わらせるために、武力抵抗よりも交渉を支持するという長年の主張を繰り返した。

「私は平和的抵抗を支持する。私は、ガザ地区、ヨルダン川西岸地区、東エルサレムに主権を持つパレスチナ国家を樹立するために、国際的な和平会議に基づき、国際的な支援のもとで、世界の権力によって保護される、解決策につながる交渉を支持する」

アッバース氏の発言は、イスラエルがガザへの攻撃を強めるなかでで行われた。イスラエルは2カ月目に突入するこの戦闘で、1万7000人以上の死者と4万6000人の負傷者を出し、約190万人の避難を余儀なくさせた。現在は、その半数以上がガザ中心部やエジプト国境近くの地域に避難している。

米国の高官は、国際会議の構想はさまざまなパートナーの間で議論されているが、提案はまだ非常に初期的な段階にあると述べた。

「国際会議は、我々や他の国々がオープンマインドで検討する多くの選択肢のひとつだ。しかし、まだ決定したわけではない」と、この高官は匿名を条件に語った。

10月7日、ハマスの戦闘員がイスラエルの町々を襲撃した。イスラエルの集計によると彼らは1200人を殺害、240人の人質を奪った。その後、イスラエルはガザを支配するハマス運動の壊滅を目的とする一連の攻撃を開始した。

アッバース氏は、拘束力のある国際合意に基づき、弱体化したパレスチナ自治政府を再建し、待望されている改革を実施し、大統領選挙と議会選挙を実施すると述べた。これらの選挙は、2006年にハマスが勝利した後、パレスチナ自治政府がガザから追い出されたため中止されている。

彼は、パレスチナ自治政府は1993年のオスロ合意以来イスラエルと結ばれたすべての和平協定とそれに続く長年にわたる合意を守ってきたが、イスラエルは占領を終わらせるという誓約を反故にしてきたと述べた。

民主的な選挙

2006年のようにハマスが勝利する可能性を考慮しながらも、選挙を実施するリスクを冒すのかと尋ねられた彼は、「誰が勝つにせよ、それは民主的な選挙になる」と答えた。

アッバース氏は、2021年4月に選挙を行う予定だったが、期日前に欧州連合(EU)の特使から、イスラエルが東エルサレムでの投票に反対していると告げられたため、中止せざるを得なくなったと述べた。

彼は、パレスチナ自治政府はイスラエルが禁止令を出す前に、東エルサレムを含む選挙を過去に3回実施したと述べ、東エルサレム抜きでの選挙はあり得ないと主張した。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争(六日戦争)でアラブの東エルサレムを占領した。その後併合してエルサレム全域を首都としたが、これは国際的には認められていない。パレスチナ人は、東エルサレムを将来の国家の首都にしたいと望んでいる。

アッバース氏は、米国当局と協議した戦後計画について、具体的なビジョンは示さなかった。この計画には、230万人が住むガザ地区の支配権をパレスチナ自治政府に移すことが含まれている。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエルは現状のままのパレスチナ自治政府によるガザ支配は受け入れないと述べている。

「米国は、二国家解決を支持し、イスラエルがガザを占領し続け、ガザの治安管理を行い、ガザから土地を取り上げることを認めないと私たちに伝えた」と、イスラエルが戦後ガザに治安地帯を設置する計画に関する言及として彼は述べた。

「ただ、米国は、イスラエルにそれを強制するようなことはしないだろう」

彼は、パレスチナ自治政府はまだ組織としてガザに存在し、従業員、年金生活者、貧困家庭のために毎月1億4000万ドルと見積もられる給与と経費を支払っていると述べた。また、ガザにはまだパレスチナ自治政府の大臣が3人駐在している、と彼は付け加えた。

「私たちにはリハビリが必要だ。ガザに戻るためには大きな支援が必要だ」とアッバース氏は語った。

「今のガザはあなたが知っているガザではない。ガザは破壊された。病院、学校、インフラ、建物、道路、モスクが破壊された。何も残っていない。我々が戻る時には、資源が必要だ、ガザは再建が必要だ」

「イスラエルを全面的に支持する米国は、ガザで起きていることの責任を負っている」とアッバース氏は述べた。

「米国はイスラエルに戦争を止めさせ、その義務を果たさせることができる唯一の国だが、残念ながらそうはしていない。米国はイスラエルの共犯者だ」

ロイター – AFP

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