
イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突開始後にパレスチナ自治区ガザに入り、救命活動に従事した国際医療支援NGO「国境なき医師団」の中嶋優子医師が13日、東京都内で記者会見した。「亡くなった人や重傷の人のほとんどが女性と子どもだった」と話し、戦闘休止を求めた。
中嶋医師は戦闘から約1カ月後の11月14日、エジプトからガザに入った。診療所などで寝泊まりしながら、救急・麻酔科医として、南部にある病院で治療に当たった。
停戦を経て今月1日に戦闘が再開すると、搬送されるけが人が急増。みとった患者は100人前後に上ったが、「搬送されるのはほんの一部。この後ろに多くの患者がいる」と訴えた。
手術で命を救っても薬剤などが間に合わず、ガーゼ交換や追加の治療が満足にできなかったという。「生き延びても、家族を全員失った子どもを何人も見た。自分たちがやっていることが無力だと思った」と涙を拭った。
戦闘が激化し、4日には病院からの退避を余儀なくされ、8日夜に帰国した。「問題の根源を止めるには、即時の持続的な停戦以外にない。証言し、訴え続けることが自分の使命だ」と力を込めた。
時事通信