
テロ対策の不備が相次ぎ、事実上の運転禁止命令が出ていた東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)を巡り、原子力規制委員会は27日、命令解除を正式決定した。東電に原子力事業者としての適格性があることも改めて確認した。規制委は20日、追加検査で改善が確認されたことや東電の小早川智明社長との面談の結果、判断材料がそろったとして命令を解除する方針を示していた。
山中伸介委員長は27日の会合で、「(改善措置を)一過性にしない取り組みについては、一定程度の定着が見られる」と指摘。東電の対応について「今後も通常の検査で確認していく」と述べた。
規制委は2021年4月、同原発内での核燃料移動を禁じる是正措置命令を出し、事実上運転を禁じていた。解除を受けて、東電は再稼働に向けた作業を再開する方針だが、地元自治体の同意も必要となるため、具体的な時期は見通せない。
柏崎刈羽原発6、7号機は17年、再稼働に必要な規制委の審査に合格した。しかし、18年以降に不正侵入を検知する設備の故障や社員が同僚のIDカードを使って中央制御室に不正に入るなど、テロ対策の不備が相次いで発覚。規制委は是正措置命令を出した上で、21年10月から改善状況を確認する追加検査を行っていた。
規制委は命令解除に当たり、東電の改善措置がおろそかになっていないかや担当職員や経営層が代わっても取り組みが継続できているかなどについて、今後も重点的に検査する方針を確認した。
27日に了承された検査報告書では、荒天時に侵入検知装置の誤作動を防ぐ取り組みが継続的に講じられていると評価。社長直轄の組織が新設され、再発防止策の徹底が図られているとして、「改善措置を一過性にしない仕組みも構築され、定着しつつある」と結論付けた。
時事通信