
自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化していたとされる事件で、東京地検特捜部は27日、政治資金規正法違反容疑で、同派に所属する池田佳隆衆院議員(57)=比例東海=の議員会館事務所(東京・永田町)などを家宅捜索した。池田氏は同派から4000万円超のキックバック(還流)を受け、政治資金収支報告書に記載していなかった疑いがある。
事件を巡り、議員側が強制捜査を受けたのは初めて。他に衆院赤坂議員宿舎(東京都港区)や池田氏の地元事務所(名古屋市)にも捜索が入った。
議員会館事務所には午前10時45分ごろ、東京地検の係官10人前後が入った。報道陣を遮るように規制線が張られ、騒然とした雰囲気に包まれた。地元事務所にも同じころ、係官数人が現れたが、無人のため捜索に着手できず、一部は報道陣に囲まれるように待機。2時間ほどして女性スタッフが入り口のシャッターを開けると、相次いで入っていった。
特捜部は、19日に同法違反容疑で安倍派事務所などを捜索。松野博一前官房長官ら同派幹部5人のほか、池田氏ら還流額が大きい議員らから任意で事情聴取するなどして実態解明を進めている。
関係者によると、安倍派は派閥のパーティー券販売について所属議員の当選回数や役職によってノルマを設け、超過分の収入を議員側に還流させていた。超過分は派閥や議員側の収支報告書に記載せず裏金化していた疑いが持たれている。
大半の議員側が裏金として還流を受けたとみられ、収支報告書の不記載・虚偽記載罪の時効にかからない2022年までの5年間では、総額約5億円に上る可能性がある。
池田氏のほか、大野泰正参院議員側が約5000万円、谷川弥一衆院議員側が4000万円超と高額で、松野氏ら幹部3人を含め10人以上が1000万円を超えるとみられている。
池田氏は8日付で20~22年の収支報告書を訂正。事務所は「政策活動費と認識して記載していなかったが、寄付として記載すべき性質のものだと判断した」と訂正理由を説明していた。
池田氏は愛知県出身で、当選4回。21年10月から22年8月まで文部科学副大臣を務めた。
時事通信