
【ソウル時事】韓国外務省の趙世暎第1次官は6日夜、日本との短期滞在ビザ免除措置を9日から停止すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、日本政府が発表した韓国からの入国制限強化を受けた事実上の対抗措置。趙次官は「日本から流入する感染病を徹底して統制する」と強調した。
発表に先立ち、康京和外相は6日午後、冨田浩司駐韓国大使を外務省に呼び、日本側の動きを「不当な措置だ」と抗議。「非友好的で非科学的だ」として撤回を求めていた。
韓国政府はビザ免除停止のほか、既に発給されたビザの効力停止、日本路線が発着する空港の制限、日本から入国する外国人への特別入国手続きを実施する。日本への渡航に関する警報も1段階引き上げ、2番目に厳しい「旅行自粛」とした。
韓国政府が対抗措置に乗り出した背景には、悪化が続く日韓関係が影響しているもようだ。韓国政府は日本と同様の措置を取ったオーストラリアなどへの対抗措置は控えており、外交当局者も韓国メディアに「韓日と韓豪関係は同じではない」と説明する。
大統領府は6日、国家安全保障会議常任委員会を開催後、「韓国は科学的で透明な防疫体系を通じ、(感染を)厳しく統制管理している」と自賛。日本政府は「不透明で消極的な防疫措置で国際社会から不信を招いている」と批判した。
ただ、韓国からの渡航者を対象に入国禁止や入国制限強化の措置を取ったのは100カ国・地域を超える。米国は韓国の一部地域に「渡航中止」を勧告。中国は韓国からの渡航者を一定期間隔離するなど、各国は制限に動いている。
こうした事態に韓国はいら立っており、4日には康外相が国会で、「防疫能力がない国は入国禁止というやぼな措置をしている」と不満を爆発させた。冨田氏にも、日本の措置の背景に「疑問が生じざるを得ない」と語り、防疫対策以外の政治的な狙いがあるのではと疑念の目を向けた。
茂木敏充外相は6日の記者会見で「あくまでも日本国内における感染症の拡大を防止するための措置だ」と強調。「外交上の観点や他の問題に関連付けている措置ではない」とも述べ、理解を求めた。
#コロナウイルス