
国際連合:韓国は18日に、分裂状態の国連安全保障理事会に、エスカレートする北朝鮮のミサイル実験と脅威に関して「沈黙を破る」よう求めた。
北朝鮮が14日に行った2024年初の弾道ミサイル実験についての安保理の緊急非公開会合のあとに、韓国の黄浚局(ファン・ジュングク)国連大使は、「これは大きな問題だ」と記者団に述べた。韓国は安保理において2年間の任期を務めている。
安全保障理事会は、北朝鮮が2006年に最初の核実験を行ったことを受けて制裁を科した。そして、資金を断ち、核および弾道ミサイル計画を抑止しようとする10件の決議によって、長年にわたり制裁を強化してきたが、これまでのところ成功していない。
最後の制裁決議を安保理が採択したのは2017年だ。中国とロシアは2022年5月に、一連の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射をめぐり新たな制裁を科す米国が提案した決議案に対して、拒否権を発動した。それ以来、拒否権を持つ常任理事国である両国は、メディア向けの声明を含め、安保理のあらゆる行動を阻止してきた。
既存の国連の制裁に違反する、北朝鮮のエスカレートする発射実験(2023年には5発のICBM、25発以上の弾道ミサイル、弾道ミサイル技術を用いた人工衛星3基を発射)は、北朝鮮の指導者である金正恩(キム・ジョンウン)氏による新たな脅しと相まって、地域の緊張を近年最高にまで高めている。
15日に金氏は、北朝鮮は韓国との平和的統一に向けた努力を断念するつもりだと宣言し、戦争により分断された両国が共有するひとつの国家体制という概念を排除するための憲法改正を命じた。同氏は、韓国を対立に固執する米国の「最高の手先」だとして、挑発されれば、北は核兵器により南を滅ぼすという脅しを繰り返した。
18日の安保理の会合の前に、米国のロバート・ウッド代理大使が記者団に、金氏の挑発は「大きな懸念材料だ」と述べた。
15か国の安保理理事国は、北朝鮮が制裁および安保理に対する義務に違反していることを思い出す必要があり、「我々は北朝鮮がこれらの義務を遵守するよう求め、安全保障理事会の全理事国にこれらの決議を執行するよう求めなくてはならない」と、同氏は述べた。
対称的に、北朝鮮と緊密な同盟関係にある中国の張軍国連大使は、朝鮮半島に関わる全関係者に対し、平静を保ち、緊張をさらに高める行動を控えるよう呼びかけた。
明らかに米国および韓国に向けられたメッセージの中で張氏は、主に北朝鮮に注目が集まる一方で、「他の国々にもさらなる激化の回避を目指す責任がある」と、期待を表明した。
フランスのニコラス・ドリビエール国連大使は記者団に、北朝鮮の行動は「どんどん悪化して」おり、定期的に弾道ミサイルを発射し、ウラン濃縮を続け、核計画を進めていると述べた。
「誰もがミサイルの発射に注目しているが、最大の脅威は再三にわたって発展を続ける核計画だと、私は考えている」と、ドリビエール氏は述べた。
そして、ロシアが「ウクライナで使用する軍需品を北朝鮮から購入する」ことで安全保障理事会の決議に違反しているのは「恥ずべきこと」だとした。「非常に悪質だ」と、同氏は語った。
韓国の黄氏は、15か国の安保理理事国全てが、北朝鮮の言葉と行動が「ますます深刻なものになりつつある」ことについて懸念していると述べた。
しかし、安保理の沈黙と無策に終止符を打つにはどうすればいいのだろう。
「それに関してや、どうやって前に進むかについて、我々は話し合って考えるつもりだ」と、同氏は述べた。「これは大きな問題だ」
金氏が平和的な再統一を断念したことに関して、黄氏は、北朝鮮の言葉、行動、政策における「大きな変化」だと述べた。「核政策は非常に警戒すべきものだ」と、同氏は語った。
AP