
ソウル:北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、韓国のタカ派与党が総選挙で敗北を喫するなか、自国の敵に「死の打撃」を与えると誓ったと、国営メディアは木曜に伝えた。
これまでの所、核武装した北朝鮮は、韓国を「一番の敵」だと宣言し、韓国統一と支援に特化した機関を切り捨て、「0.001ミリ」でも領土を侵害すれば戦争になると脅してきた。
平壌の朝鮮中央通信(KCNA)によると、挑発された場合、北朝鮮は「あらゆる手段を使って、ためらうことなく敵に致命的な打撃を与える」と述べた。
KCNAによれば、金総書記は、韓国の総選挙と同日、金正日政治軍事大学を訪問した際に発言したという。
「今こそ、これまで以上に徹底的に戦争に備える時だ。北朝鮮は、来る戦争のためだけでなく、必ず勝利すべき戦争のために、よりしっかりと完璧に備えるべきだ」と総書記は語った。
国営メディアが公開した、一部不鮮明な画像には、軍当局者に囲まれた総書記が、朝鮮半島の地図とともに、漢江を含む韓国の首都ソウルの模型のようなものを見つめている様子がみられた。
韓国総選挙の結果は、核保有国である北に対して強硬路線をとる一方、米国との関係を改善してきた、現職の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の与党に敗北をもたらした。
この結果、大統領は残り3年の任期を棒に振ることになる。
地滑り的に勝利した最大野党の民主党は、平壌に対するよりソフトなアプローチを好む。
総選挙の結果は、特に11月の選挙でドナルド・トランプ前米大統領が復帰する見通しでもあり、金総書記にとって朗報である、とアナリストは述べた。
専門家たちは、トランプ氏が大統領在任中に金総書記と歴史的な首脳会談を行なったが、結局は失敗に終わり、今回トランプ氏が再選した場合、平壌との関係を強めるかもしれない、と予測している。
金総書記は最近、ロシアとの軍事的な結びつきを強めている。ロシアは先月、国連安全保障理事会での拒否権を行使し、北朝鮮の制裁違反に対する国連の専門家による監視を事実上打ち切った。
AFP