
自民党の菅義偉前首相は15日、東京電力福島第1原発を視察した。菅政権で決定した原発処理水海洋放出の進捗(しんちょく)状況を確認するのが目的。16日に告示される衆院3補欠選挙を見据え、自身の存在感を示す狙いもありそうだ。
菅氏は、原子炉建屋を見渡せるデッキで廃炉作業を確認。放射性物質トリチウムを含む処理水の希釈放出設備に移動し、東電関係者から作業工程の説明を受けた。
この後、菅氏は記者団に「処理水は決して先送りできないとの判断の中で、覚悟を持って決めた」と強調。「安全確保の努力に終わりはない。緊張感を持って行うべきだ」と訴えた。
今回の視察について、自民内には「補選後を見据えた動き」と捉える向きもある。菅氏は記者団に3補選について「島根1区でしか公認できなかったことは大変残念だ」と指摘。裏金事件を受けた政治資金規正法の改正については「透明性の高い、国民が納得する改正を主導して進めていくべきだ」と述べた。
周辺によると、菅氏は岸田内閣の支持率低迷に「こんな状況で衆院解散はできない」と漏らしているという。3補選の結果次第では「ポスト岸田」への動きが本格化しかねず、非主流派のキーパーソンである菅氏の動向が注目を浴びそうだ。
時事通信