
防衛省がまとめた2024年版防衛白書の素案が22日、判明した。北朝鮮の核・ミサイル開発について「質的な意味で能力向上に注力」していると強調。中国と台湾の軍事バランスについて「中国側に有利な方向に急速に傾斜」との分析を維持した上で、台湾が「(ロシアの)ウクライナ侵略を受け、自身の防衛努力を強化」しているとの見方を加えた。
北朝鮮は昨年、固体燃料式の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」を発射。軍事偵察衛星の打ち上げも実施した。白書ではこれを受け、「装備体系の多様化や、核・ミサイル運用能力を補完する情報収集・警戒監視・偵察(ISR)手段の確保」に動いていると記した。
22年改定の国家安全保障戦略で「最大の戦略的挑戦」と位置付けた中国の軍事動向について、改めて強い危機感を表明。台湾周辺での軍事活動を「既成事実化と実戦能力の向上を企図しているとみられる」と指摘した。
昨年10月に発生したパレスチナ自治区ガザを巡る軍事衝突についても言及。中東地域の平和と安定が「わが国を含む国際社会の平和と繁栄にとって極めて重要」と強調した。ロシア軍が近年、極東方面にも最新装備を配備する傾向があると指摘し、中国との戦略的連携も含め「安全保障上の強い懸念」とした。
陸海空3自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」の今年度末創設や、米国製巡航ミサイル「トマホーク」導入の1年前倒しなど、日本の防衛力強化の取り組みも紹介。今年は自衛隊発足70年の節目で、白書は初版の1970年版から数えて今回で50冊目。各版の表紙一覧を添え、自衛隊の活動を振り返る巻頭特集を設けた。
時事通信