
新型コロナウイルスの感染拡大を受け不要不急の外出自粛が要請された28日、東京の街から人波が消えた。通常の週末には若者が集う渋谷や原宿、高齢者が多い巣鴨、観光客でにぎわう浅草などで、普段と異なる閑散とした光景が広がった。
JR渋谷駅前のハチ公前広場は昼を過ぎても人がまばら。タピオカミルクティーなどの人気店が並ぶスペイン坂では、店員が手持ち無沙汰な様子で外を眺めていた。
原宿の竹下通りでは普段より人が少なかったが、若い人たちの姿が見られた=28日午後、東京都渋谷区
「渋谷ってこんなんやったっけ」。大阪府から卒業旅行で訪れた高校3年の女子生徒(18)2人組は、「何カ月も前から楽しみにしていたのに」と落胆した。30年続くカフェの店長佐々木厚夫さん(49)は「渋谷はエンタメの街。それが全滅しているので、食事にも来ない」と半分以上席の空いた店内でぼやいた。
JR原宿駅前の竹下通りも普段より人が少なく、シャッターが目立つ。フランスから訪れたジョリー・ガルニエさん(27)は「どこの店も美術館も閉まっている。行く所がない」と残念そうだった。
海外からの観光客を見掛けなくなって久しい浅草。浅草寺の常香炉に煙は少なく、仲見世通りでは半分以上の店がシャッターを閉めた。甘味店の女性従業員は「頼りにしていた日本人までいなくなってしまった」と困惑する。
雷門前で客待ちをしていた葛飾区のタクシー運転手、鳥塚不二男さん(77)は「20年以上拠点にしているが、こんなことは初めてだ」と話した。
JIJI Press