能登半島地震の初動対応に関する政府の検証チームは10日、今後の災害に備えた対策などを盛り込んだリポートをまとめ、同日首相官邸で開かれた復旧・復興支援本部に報告した。災害時に支援が円滑に行えるよう、平時から地方自治体に受け入れ計画の策定を求めることを明記した。
岸田文雄首相は本部会合で「一連の災害対応を振り返り、今後の対策に反映させることが重要だ」と述べ、関係閣僚に対応強化を指示した。また、仮設住宅建設や家屋の公費解体といった復旧作業を加速させるため、月内に予備費を追加する考えを示した。
リポートは現地に派遣された国の職員からの聞き取りを基に、内閣府や国土交通省など関係省庁による検証チームがまとめた。被災地への進入路が限定されるなど半島特性の問題点を踏まえ、自治体支援や避難所運営、物資輸送の課題を中心に対応策を盛り込んだ。
具体的には、自治体による受け入れ計画の作成や、応援職員が使用する寝袋や食料の備蓄といった事前準備の必要性を強調。避難所支援としては、開設時から段ボールベッドを設置できるよう運営指針を見直すとした。さらに物資輸送に支障が出ないよう、事業者との連携促進も挙げた。
検証チームは現場で使われた新技術の有効性も検証し、医療拠点となった高機能コンテナや移動式トイレ、ドローンの活躍を評価。自治体に活用を促すため、役立った技術や物品をカタログとしてまとめた。
政府は今後、有識者によるワーキンググループを設置。災害対策基本法など関連法や制度の見直しを議論する方針だ。
時事通信