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ヨルダン川西岸地区の入植地をめぐる争いでイスラエル政権内部の不一致鮮明に

ヨルダン川西岸地区で行われた、10代のパレスチナ人、ハムゼ・アル・アシュカーさんの葬儀で嘆き悲しむ弔問客。アシュカーさんは、イスラエル軍の襲撃時の衝突で死亡した。(ファイル写真:ロイター)
ヨルダン川西岸地区で行われた、10代のパレスチナ人、ハムゼ・アル・アシュカーさんの葬儀で嘆き悲しむ弔問客。アシュカーさんは、イスラエル軍の襲撃時の衝突で死亡した。(ファイル写真:ロイター)
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10 Feb 2023 05:02:40 GMT9
10 Feb 2023 05:02:40 GMT9
  • ネタニヤフ首相は昨年12月、イスラエル史上最も右派的な政権の長として権力の座に返り咲いて以来、ヨルダン川西岸一帯の入植地を拡大する方針を打ち出している

エルサレム:ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いるイスラエルの強硬派政権内で、ヨルダン川西岸地区入植地内の前哨基地の取り壊しをめぐって亀裂が生じており、発足間もない連立政権の安定度が試される形となっている。

ネタニヤフ首相は昨年12月、イスラエル史上最も右派的な政権の長として権力の座に返り咲いて以来、ヨルダン川西岸一帯の入植地を拡大する方針を打ち出している。

しかし先月、ヨアフ・ガラント国防相の命令でイスラエル軍がヨルダン川西岸北部の「オア・ハイム」と呼ばれる未認可の前哨基地を解体に向けて動いたことにより、現地での政策をめぐる分裂が表面化した。

このような前哨基地は国によって違法とされているにもかかわらず、ベザレル・スモトリッチ財務相とイタマル・ベングビール国家治安相の極右の閣僚2名がその取り壊しに異議を唱えたのである。

「アラブ人のための法律とユダヤ人のための法律に違いがあるはずはない…法律は公平に適用されなければならない」とベングビール治安相は主張し、イスラエルが治安および民政を管理している西岸地区の大部分に存在する、パレスチナ人による無許可の建築物の取り壊しを要求した。

国家治安相はヨルダン川西岸で活動する国境警備隊の指揮権を持ち、一方スモトリッチ財務相はパレスチナ地域の民政を監督する役割も担っている。

ネタニヤフ首相は、この前哨基地問題でガラント国防相を支持し、介入措置を行う場合は「首相や治安当局と事前に調整しなければならないが、今回はそれがなされていない」と述べた。

オア・ハイムの前哨基地は、少数の間に合わせの建造物で構成されているに過ぎないものだったが、その取り壊しへの対処は、連立政権が抱える内部の問題を示すものとなった。

イスラエル民主主義研究所のギデオン・ラハット上級研究員は、現在の状況は「国家としてのイスラエルにとって潜在的に非常に危険」なものだと語る。

「武力行使に関して、責任を負う者が同時に2人いるのは普通ではない」とラハット氏は指摘し、スモトリッチ財務相が国防省に設けられた2番目の大臣級ポストを得ている問題に言及した。

同財務相は、今回の事態への対応に抗議し、閣議をボイコットした。

イスラエル軍の兵士たちは、最初の退去措置から2日後にオア・ハイムに戻り、この地域の再建を試みていた入植者たちを再び追い払った。

「これは決着のついた小さな諍いのようにも見えるが、(前哨基地自体が)そもそもそこに置かれるべきではないのだ」とラハット上級研究員は語っている。

イスラエルが1967年の第三次中東戦争以来占領しているヨルダン川西岸には、同様の前哨基地が何十となく点在しているため、この問題が再燃するのは必至だ。

占領地におけるすべての入植地は国際法上違法とされているが、イスラエルは許可なく建設された未認可の前哨地と、推定47万5000人のイスラエル人が住む国家公認の入植地とを区別している。

AFP

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