
ベルリン:ドイツ・ベルリンを訪問中の岸田文雄首相は12日午後(日本時間13日未明)、ショルツ首相と首相官邸で会談した。中国の覇権主義的な行動を踏まえ、インド太平洋地域で防衛分野の協力拡大に取り組む方針で一致。半導体や重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化を図るため、経済安全保障に特化した政府間協議の枠組みをつくることに合意した。
共同記者会見で岸田首相は、欧州・大西洋とインド太平洋の安保は不可分との立場を改めて表明。「ロシアと北朝鮮の軍事協力の深まり、ロシアによるウクライナ侵略に関する中国の動きへの対応について、ドイツとさらなる連携を期待している」と述べた。
ショルツ首相は、今夏にドイツの空軍機やフリゲート艦が来日を予定していることに触れ、「シグナルとしての価値を持つだけでなく、いかに日独が協調していけるのか確認することができる」と強調。中国の南シナ海などでの動きを念頭に国連海洋法条約の順守を訴え、「北朝鮮から武器がロシアに入っている状況はゆゆしきことだ」とも主張した。
日独間では弾薬や燃料を融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)が12日に発効。会談ではこれを踏まえ、部隊間の連携を強めることを確認した。外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を早期に日本で開き、具体的な内容を話し合う。
経済安保の連携は中国やロシアの動向を視野に入れた対応。両首脳は「産業構造や高度な技術力で共通点を持つ日独の連携が重要だ」との認識で一致。会見でショルツ首相は「一つの国、一つの地域に依存する経済ではいけない」と語った。政府間協議には日本から外務、経済産業両省、ドイツから経済・気候保護省の幹部が参加する方向だ。
会談は夕食会を含め約2時間間行われた。首脳や閣僚が参加する2回目の「日独政府間協議」を来年にもドイツで開催することも申し合わせた。
時事通信