ビエンチャン:石破茂首相は10日午後(日本時間同)、訪問先のラオスの首都ビエンチャンで中国の李強首相と約35分間会談した。両首脳は「戦略的互恵関係」を推進し、「建設的かつ安定的な関係」を構築していく方針を確認。石破氏は中国・深センでの日本人男児刺殺事件などについて早期の事実解明と説明を要求した。
石破氏と中国要人の会談は首相就任後初めて。石破氏は会談で「日中両国には協力の潜在性と懸案があるが、両国民が関係発展の果実を得られるよう共に取り組んでいきたい」と表明。李氏は「良好な中日関係を築きたい。新たな時代に合った安定的な中日関係を構築することが両国民の利益になる」と述べた。両首脳は首脳レベルを含め重層的に意思疎通を重ねることで一致した。
男児刺殺事件に関しては、石破氏が「在留邦人の不安は急速に高まっている」と述べ、日本人の安全確保を要請。「悪質で反日的なSNS投稿の取り締まり」を含めた迅速な対応を求めた。
石破氏はまた、中国軍機による領空侵犯などへの「深刻な懸念」を伝え、十分な説明を要求。中国による日本産水産物の輸入再開で先に合意したことを踏まえ、輸入の早期回復を求めた。中国の南シナ海などでの動きにも触れて「深刻な懸念」を伝え、台湾情勢について「台湾海峡の平和と安定が極めて重要だ」とクギを刺した。
日本外務省によると、石破氏は持論のアジア版NATO(北大西洋条約機構)に言及しなかった。
時事通信