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日本の輪島工芸作家、被災地に希望を見出す

2024年の元日に発生した地震は、過去10年で日本最悪の被害をもたらし、470人近い命を奪った。犠牲者の約半数は、津波の被害と輪島市の中心部で発生した大規模火災によるもので、歴史ある市場が焼失した。(時事通信社/AFP時事)
2024年の元日に発生した地震は、過去10年で日本最悪の被害をもたらし、470人近い命を奪った。犠牲者の約半数は、津波の被害と輪島市の中心部で発生した大規模火災によるもので、歴史ある市場が焼失した。(時事通信社/AFP時事)
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02 Jan 2025 12:01:42 GMT9
02 Jan 2025 12:01:42 GMT9

輪島(日本):漆器メーカーの高穂商事の職人が、日本の中心部にある被災した輪島市の自社の机に座り、黒い木箱に塗りを施している。

53歳の彼は、1月の大地震とそれに続く大洪水で大きな被害を受けたこの地域社会を復興させるために、筆を動かす。

「復興に向けてできる限りのことをし、この伝統を守り、次の世代に伝えていかなければなりません」と、2児の父である彼は穏やかに語った。

「私たちは一緒にさらに努力しなければなりません。さもなければ、この地域の漆器産業は衰退してしまうでしょう」

輪島は人口2万人あまりの海岸沿いの都市であり、全国的に有名な高級漆器の中心地である。

ここで作られる製品は輪島塗として知られ、基本的な汁椀でも150ドル以上の値が付けられる。

今年、能登半島の先端に位置するこの街とその周辺地域は、死と苦しみに見舞われた。

家族が正月用の食事の準備をしているさなか、マグニチュード7.5の恐ろしい地震が強力な余震を伴って発生し、家屋や事業所が倒壊した。

広範囲にわたる火災、津波、地滑りがこの地域を襲い、ほとんどの住民と訪問中の親戚は避難所に避難せざるを得なかった。

そして、生活を再建しようとした矢先の9月、集中豪雨により市内が洪水となり、さらに多くの家屋が倒壊した。

この災害は、輪島漆器産業の職人や労働者約700人のネットワークも破壊した。輪島漆器産業は、他の高級工芸品と同様に労働力を失いつつある。

市の被害は広範囲にわたったため、市当局者も現在どれだけの職人が活動しているのか把握できていない。

輪島塗は丈夫で繊細なデザインで知られ、椀や箸などの食器によく使われる。

控えめな上品さを備えたこの技法は、高級家具や室内装飾品にも用いられている。

輪島塗の製造には100以上の工程がある。作業は専門の職人たちに分担されており、漆の塗りに専念する者もいれば、彫刻や成形を担当する者もいる。

輪島塗の工房の7代目当主である桐本泰一氏は、職人たちのネットワークを再構築しようとしているこの街の漆器職人の一人である。

自宅を失った桐本氏と妻は、現在、工房のギャラリースペースに住んでいるが、彼はすぐに前進し始めた。

著名な建築家、坂茂氏と協力し、段ボール素材で仮設の作業場を建設し、全国を回って工房の作品を宣伝し、職人たちに作業場を提供している。

「漆器は人々に安らぎと温かみ、そして心地よさをもたらします。 現代の便利さとは異なるのかもしれませんが」と、ルイ・ヴィトンなどの一流ブランドと仕事をしてきた桐本氏は言う。

「この街を離れるとか、他の職業に就くという選択肢はまったく考えられない」と彼は言う。

桐本氏のスタッフ職人の一人に、塗りのスペシャリストである庄司さんがいる。

熱心な釣り人である庄司さんは、地震が起きたとき、一人で地元の港にいた。

海水が轟音を立てて押し寄せ、あっという間に引いて海底を露出させ、また押し寄せて津波となった。

土砂崩れで自宅への道がふさがれたため、彼は高台で車中泊することにした。

翌日、家族と再会したが、自宅は居住に適さない状態だった。一家は避難所に移り、彼は地域社会の人々を支援し始めた。

庄司氏は地震後、他の人々にも市内に留まるよう勧めた。

しかし、9月の洪水の後、その判断が正しかったのか疑問に思った。

「それが一番心配だ。人がいなくなれば、地域社会は荒廃してしまう」と彼は語った。

それでも庄司さんは、地元の誇りである輪島塗の伝統が、苦境に立たされた故郷に活気を取り戻すことができると信じている。

彼は、何世紀も続く伝統からインスピレーションを得て、漆器を現代にふさわしいものにするための新しい手法を試している。

「私たちの未来は不確かだ。しかし、私は何かを成し遂げて、物事を前進させたい」と彼は語った。

AFP

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