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メリットが大きい週あたり勤務時間の短縮

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18 Dec 2021 02:12:31 GMT9
18 Dec 2021 02:12:31 GMT9

新年からUAEは世界で初めて週4.5日勤務を導入する。世界平均の週5日よりも短い。この政策は、国の労働時間を世界市場と調和させ、経済的・金融的取引を促すメリットがある先進的で優れた決断だ。

さらに重要なのはUAEがワークライフバランスの改善を促進する柔軟な働き方の設計に取り組んでいることだろう。労働政策の体系的な変更を進めることで、従業員にとっては家族、友人、健康、教育、地域社会への参加、余暇に使える時間が増える。

現代の暮らしの状況から、労働政策には、従業員の仕事と生産性に影響を与える業務以外の領域の幅を考慮することが求められている。例えば、柔軟な勤務形態が実現すれば、従業員は高等教育を受ける、研究休暇をとる、副業で小企業を経営する、フリーランスで働く、慢性疾患を自己管理する、趣味を追求する、体を動かす、充実した休暇を確保する、扶養家族の弱者の世話をするといったことが可能になる。

他方、このような柔軟な勤務形態を利用できないことは、世界中の労働者が直面している普遍的な課題と見なされている。この経済的・社会的議論の核心には多くの問題がかかわっている。多くの労働市場ではもともと働き方が原因で人材流出が起きている事実もある。長時間労働は、慢性的に強いストレス、燃え尽き症候群、うつ病、社会からの疎外、健康問題に結びついている。

さらに個人的なレベルでは、多くの従業員が育児や介護との両立に苦心しており、高額のケアサービスを頼って子どもや高齢者家族の世話をしている。政府は労働政策の設計において中心的な役割を担っている。労働者が仕事、私生活、家族としての責任をうまく組み合わせ、コミュニティの幸福度を上げられるような柔軟性ある働き方の提案が求められている。

事実、柔軟な働き方が経済的側面と福祉的側面の両方にもたらす影響に注目した研究が増えている。利点として、優秀で経験豊かなスタッフを獲得し、かつ長く勤めてもらえるようになるほか、欠勤の減少、仕事と私用を管理する能力の向上、仕事の満足度の向上、エネルギーと創造性の向上、ストレスレベルの低下、オフィス維持経費の削減、環境へのプラスの影響などが挙げられている。

2019年の有名な研究でヘンリー・ビジネススクールは、週4日勤務を実施している企業を含め、500人を超えるビジネスリーダーと2,000人の従業員を調査した。その結果、週あたりの労働時間が相対的に短い環境で生じるプラスの効果が明らかになった。例えば、人材の獲得と維持・確保率の向上、従業員満足度の向上、欠勤率の低下の報告、生産性の強化などだ。さらに研究者たちは、効率的に事業が営まれることで、環境汚染と燃料消費が削減できることは言うまでもなく、英国企業全体で年間920億ポンドの節約になっていると試算した。

近年、進歩的な政府や企業の多くは、包括性、柔軟性、公平性を中心とした勤務形態に移行しようと模索を続けている。例えば、アイスランド政府とレイキャビク市議会は、現在よりも週あたり勤務時間を短縮することの有効性を検証するため、2015年から2019年の間に2つの実験を行った。対象者は週40時間勤務から週35時間または36時間勤務に変更された。その結果、生産性と幸福感にプラスの影響をもたらすことが明らかになった。そして現在では約86%の従業員が、給与は変わらないまま以前よりも短い勤務時間で働いている。

別の事例では、2021年6月、日本の経済財政諮問会議は企業に対し、従業員に週4日勤務への移行を認めるよう勧告した。期待されるメリットとして、経験豊かなスタッフに長く勤めてもらえる、高齢者の親族や子どもの世話がしやすくなる、家庭や社交のための時間を確保できることが挙げられている。また、国の少子化対策にも寄与するという。

一方で今年、スペイン政府は、企業の週32時間労働の有効性を検証するために、5,000万ユーロ(5,600万ドル)の助成金を投じて3年間の試験的プロジェクトを開始した。また、多国籍の一般消費財メーカーであるユニリーバは、ニュージーランドのスタッフを対象に、12カ月間の試行期間で週4日勤務を行っている。この結果次第で、世界各地の149,000人のスタッフにも同じ方針を拡大する方向に舵を切ることになる。

労働時間の短縮のメリットを称えるデータは豊富にあるものの、経済的利益と生産性に影響を及ぼし得るからには、依然として抵抗を受けるのは当然だと思われる。だが、各国の労働時間数と生産性レベルを詳しく調べると、異なる結果が出てくる。OECDが発表した興味深い数字によると、他国と比べて労働時間が短くても生産性が最適なレベルに達している国もあることが判明した。ドイツ、フランス、デンマークなどだ。

政策立案者は、生産性を最大化し、経済的利益をもたらす柔軟な雇用政策を設計し、同時に従業員が自らの幸福と大切な人のために貴重な時間を捻出できるようにすることが重要だ。

サラ・アル・ムラ

業務の生産性向上を目指すテクノロジーとソリューションへの目ざとい投資が勢いを増している。例えば、生産性ソリューション、リモートワーク、オンライン協業ツール、自動化、人工知能の研究開発などだ。ロボット工学は、従業員がオフィスやサービスセンターに赴いて立ち会う必要性をなくし、生産性の向上を実現している。

この点に関しては、世界的なパンデミックにより、雇用主は柔軟な勤務形態とリモートワークについて再考するようになった。実際に多くの企業が、生産性の著しい向上、コスト削減、従業員の福利の向上などの予備データに基づいて無期限でそのような働き方ができる方向に移行している。

政府や企業は、ビジネスへの影響を評価するために、柔軟な勤務形態の概念の試行をさらに奨励している。柔軟な勤務形態の枠組みの中では、勤務時間の短縮、フレックスタイム制、時短週間、パートタイム業務、リモートワーク、さまざまな目的に利用できる休暇制度など、多くの選択肢が考えられる。綿密な計画を立て、作業負荷管理と業務を達成できる労働時間についてスタッフ全員の合意が得られるよう、職務上の期待、任務、期限の概要を説明する必要がある。

つまり、各国は労働力について創造性と創意工夫をこらすことで世界的な競争力をつけられるのだ。したがって政策立案者は、生産性を最大化し、経済的利益をもたらす柔軟な雇用政策を設計し、同時に従業員が自らの幸福と大切な人のために貴重な時間を捻出できるようにすることが重要だ。

  • サラ・アル・ムラ氏は人間開発政策と児童文学に関心を持つUAEの公務員。問い合わせ先はamorelicious.com。
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