
東京:日本の石破茂首相は、ドナルド・トランプ米大統領とウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領のホワイトハウスでの衝突を受け、日本のメディアに対し、世界で最も先進的な経済国で構成されるG7の結束を維持する必要があると述べた。
「我々はG7の結束を維持するためにあらゆる努力をする。ホワイトハウスでの対立については、”少々予想外の展開であり、かなり感情的なやりとりだった」と語った。
そして外交における思いやりの必要性を強調し、「双方の利益を最大化するためには、忍耐と理解も必要だろう。そうした思いやりと忍耐に裏打ちされた外交が、平和を実現するために今後展開されるべきだ」とした。
石破首相は、日本はG7のメンバーとして、米国、ウクライナ、そしてG7諸国の分裂を防ぐために重要な役割を果たさなければならないと強調した。
一方、岩屋毅外相は先に、日本は一刻も早く公正で恒久的な平和を実現するため、「重大な懸念を持って」事態を注視していくと述べた。
G7はイギリス、カナダ、ドイツ、フランス、イタリア、日本、アメリカ、EUで構成されている。
オンラインマガジン『The Diplomat』に寄稿した高橋浩祐氏は、トランプ大統領の傲慢さを非難し、アメリカのウクライナ支援はアメリカの利益になると指摘した。
「アメリカのウクライナへの援助のほとんどは、アメリカ国内か米軍に使われているということを国際社会が忘れてはならない」
保守系シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ研究所が2024年5月に発表した調査によると、ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻して以来、米国がウクライナに提供した1750億ドルの援助のうち、約70%は米国内か米軍に使われている。
ドイツの経済シンクタンクであるキール世界経済研究所によれば、アメリカがヨーロッパ諸国よりもはるかに多くの資金をウクライナ戦争に投入しているというトランプ氏の主張も誤りである。それによると、2024年12月までに欧州連合(EU)と欧州諸国が戦時中のウクライナに提供した援助の総額は約2580億ドルで、米国が提供した1240億ドルをはるかに上回っている。
しかしすべての日本のコメンテーターがトランプ氏を批判したわけではない。ロシアと親密な関係にある政治家の鈴木宗男氏は、ゼレンスキー氏の発言は「利己的」であり、彼の政治経験のなさを露呈していると述べた。「今回のやり取りで、トランプ大統領が揺るぎない平和志向であることが確認された」と鈴木氏は自身のブログに書いた。「前政権とは異なり、トランプ大統領は平和への強い願いを表明している」
神戸学院大学の岡部芳彦教授は、ホワイトハウスでの衝突は仕組まれたものだとほのめかした。JDバンス副大統領の真後ろに立って質問していたのは、ポッドキャスト番組『リアル・アメリカンズ・ボイス』のブライアン・グリーン氏。彼は陰謀論者で熱烈なトランプ支持者であるマジョリー・テイラー・グリーン議員のボーイフレンドとも言われている。そこにどのような “記者 “がいるかで場の雰囲気が左右されるという良い例だと感じた」
同志社大学の三牧聖子教授も同意見だ。「トランプ政権は、ホワイトハウス特派員協会から執務室を取材する権利を奪い、代わりに執務室を取材する記者を政権が選ぶと言うことで、数十年の原則を覆した」
トランプ氏に味方しない記者を追放した影響は出ているという。「共和党支持者の間でゼレンスキーへの批判が著しく強まり、『ウクライナが戦争を始めた』『ウクライナのせいで戦争が終わらない』という見方に同調する人が増えている。ウクライナ支援を訴えてきた共和党議員も、トランプ批判を恐れてゼレンスキーとの会談写真をSNSから削除している」
弁護士で元大阪市長の橋下徹氏は「現実的なアプローチ」として、「圧倒的な軍事的勝利が得られないのであれば、政治的な解決しかない。欧州や日本を含む欧米諸国が、ウクライナの側に立って支援すると言うのであれば、ロシアと戦う覚悟をきちんと持って、ウクライナの側に立っていると言う必要があると思う。そうでなければ、無責任極まりない」と述べた。