
安倍晋三首相は14日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年度第2次補正予算案の編成を政府・与党に指示した。従業員を休ませた企業に支給する雇用調整助成金の上限額を日額1万5000円に倍増。中堅・大企業への支援策も盛り込む。27日をめどに規模などを決定し、6月17日までの今国会中の成立を目指す。
安倍首相は、14日の新型コロナウイルス感染症対策本部会合で「日常を取り戻していくため、もう一段の新たな対策が必要だ」と述べた。
4月30日に成立した1次補正は総額25兆6914億円。全国民に対する10万円の現金給付のほか、売り上げが急減した中小企業に最大200万円を支給する。
2次補正では、現在日額8330円となっている雇用調整助成金の上限額をほぼ倍増するために必要な財源を盛り込む。安倍首相は14日の記者会見で、「日額1万5000円に特例的に引き上げる」と述べた。海外と比べると日本の上限額は低く、経済界から引き上げを求める声が出ていたことに対応する。同助成金で救済されない休業者については、新たな給付金を創設する。
家賃支払いが困難な事業者への支援では、家賃の3分の2相当分を半年間支給する。このほか、与党内では、アルバイト収入が減った学生の学費として10万~20万円給付する案が出ている。
経営が急速に悪化している企業への支援にも乗り出す。14日開かれた未来投資会議(議長・安倍首相)では、経営が悪化した中堅・大企業を政府系金融機関を通じて支援することが固まった。
具体的には、日本政策投資銀行などが苦境に陥った企業に劣後ローンを融資する。同ローンは借り入れの一部を資本とみなせるため、企業の財務体質強化につながる。このほか、資本増強の手段として、議決権がない代わりに高い配当が受けられる優先株を活用する案もある。
また企業を支援する金融機関の財務基盤を強化するため、健全な銀行への資本注入を可能とする金融機能強化法の支援申請期限の延長を検討する。現在は22年3月までとなっている。
補正成立からわずか2週間での2次補正着手となり、安倍政権の経済対策にはちぐはぐ感が否めない。2次補正の内容については「本来は1次補正の段階で入れておくべきだった」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長)との声がある。自民党内にも「政府の対策が後手に回っている」(中堅議員)との不満が出ている。
JIJI Press