
政府は5日、新型コロナウイルス対策として実施する観光需要喚起策「Go To キャンペーン」の事務局委託先の公募をいったん中止すると正式発表した。当初は8日に募集を締め切り、7月下旬からキャンペーンを始める予定だったが、今回の決定に伴い開始が遅れる公算が大きくなった。コロナ収束を機に地域経済をV字回復させる政府の狙いに黄信号がともっている。
Go To キャンペーンは、旅行商品や飲食店などの利用者らにクーポンやポイントを配布することで需要を刺激し、新型コロナで打撃を受けた関連事業者を支援する政策。約3000億円に上る事務局の委託費用に世論の関心が高まり、野党が国会などの場で連日追及している。
今後、経済産業省、国土交通省、農林水産省がそれぞれの業務分野ごとに事務局を選定・発注し、個々の契約額を引き下げる案を検討する。政府内で取りまとめ役となっている経産省の担当者は5日夜、キャンペーンの開始時期について「多少の遅れは生じ得る」と話した。
事務局は必要なシステムの構築やコールセンターの運営、PR業務など広範な役割を担う。経産省は当初、複数企業の連合体に一括で発注する考えだったが、野党などの批判を踏まえ、公募をいったん仕切り直すことにした。
当初案では、総事業費が1兆6794億円と巨額なことから事務局の業務を担える組織・団体が限られる上、問題のさなかで応募に慎重な企業などが少なくなかったとみられる。公募は5月26日に始めたが、これまで手を挙げたのは1社にとどまっていた。
JIJI Press