
東京:日本の研究者は10日、富士フイルムが製造するアビガンの臨床研究の結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬としての有効性は確認できなかったと発表した。
藤田医科大学の土井洋平教授によると、早い段階でアビガンを投与された患者は、遅れて投与を受けた患者よりも、症状の改善を示す傾向がみられたものの、結果は統計的な有意差には至らなかったという。
臨研究験は全国の89人の患者を対象に3月から5月の間に行われ、10日の記者会見で結果が発表された。
日本の安倍晋三首相は5月に、同薬が新型コロナウイルス感染症の治療薬として承認されることを期待していると述べたが、日本の感染者数の減少を背景に、臨床試験のペースが鈍化していた。同薬はロシアとインドで新型コロナウイルス感染症の治療薬として承認されている。
アビガン(一般名:ファビピラビル)は、富士フイルムのグループ会社によって開発され、2014年にインフルエンザの治療薬として日本で承認を受けている。
3月に中国の当局者が新型コロナウイルス感染症の回復に効果があるようだと発表して以来、同薬への関心が急速に高まった。現在、世界中で少なくとも25件の臨床試験の対象となっている。
日本政府は富士フイルムに対し同薬の国内備蓄を3倍にするよう要請し、同薬の提供要請がある国に対しては対応することを約束している。
同薬は、動物実験で先天性欠損症の原因となることが認められたため、副作用のリスクが懸念されている。
ロイター