
新型コロナウイルスの感染拡大により、観光客向けの専用列車の利用が大幅に減少した京都丹後鉄道(京都府宮津市)が、オンラインでの乗車体験など「アフターコロナ」を見据えた観光客の開拓に力を入れている。
京都府北部などを走る同鉄道は、日本三景の天橋立をはじめとする沿線の観光資源に恵まれ、京阪神を中心に全国から観光客が訪れる。特に車内で食事ができるレストラン列車「丹後くろまつ号」は、地場産品の魚介類を使った豪華なコース料理や地元のビストロが考案したスイーツなどが人気。若狭湾に臨む景勝地でのアテンダントの解説にも定評があり、連日満席となっていた。
しかし、コロナ禍でくろまつ号は約1カ月間運休。6月に運行を再開したが、乗車率は以前の半分ほどにとどまる。一方、「食事やもてなしが想像以上」と乗客の評価は高い。アテンダントの荻野真奈さん(22)は、フェースシールドにマスク姿で声が通りにくい中、料理の説明や沿線の観光案内に奮闘する。
荻野さんは「ここまで人が少ないのは初めてだが、また乗客でいっぱいになる日を夢みて仕事に取り組んでいる」と話す。アテンダントが、観光列車内でかき氷などを販売する地元向けの「お祭りイベント」も企画。沿線利用者の開拓を進める。
新たな試みとして、レストラン列車の乗車体験や沿線の観光地巡りなどオンラインで旅行気分が味わえる「リモートトラベル」も始めた。車内で提供される名物のばらずしが自宅に届き、パソコンなどで車窓や車内の映像を見られる。7月末に第1弾を企画したところ、約150人が参加するなど好評で、同社は誘客につなげたい考えだ。
JIJI Press