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ガザ戦争を止めるうえでのイスラエルへの武器提供国の責任

オランダの控訴裁判所は同国政府に対し、イスラエルへのF-35戦闘機の部品すべての輸出を停止するよう命じた(ファイル / AFP)
オランダの控訴裁判所は同国政府に対し、イスラエルへのF-35戦闘機の部品すべての輸出を停止するよう命じた(ファイル / AFP)
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16 Feb 2024 05:02:11 GMT9

オランダの控訴裁判所は月曜日、「輸出されたF-35の部品が国際人道法の重大な違反に使用される明らかなリスクがあることは否定できない」とし、同国政府に対し、イスラエルに対するF-35戦闘機の部品の輸出すべてを停止するよう命じた。

同裁判所はオランダ政府に対し7日の猶予期間を与えた。オランダ政府は訴訟の本案については争わなかったが、外交政策の決定は裁判所ではなく行政府に委ねられるべきと主張し、最高裁判所に上訴する意向を示した。

控訴裁判所は政府の懸念を考慮したうえで、国際法違反の明らかなリスクに勝るものではないとの判決を下した。そして、F-35がガザ地区への攻撃に使用され、容認できない数の民間人死傷者の発生につながっている可能性が高いと指摘した。

また、輸出許可に関して新たなチェックを行う必要はないというオランダ政府の主張を棄却した。

この裁判所命令は、イスラエルがガザ地区の他の地域から強制的に住民を追い出し、いまやガザ地区の人口の約半数が避難している南部の都市ラファに対して、壊滅的なものになるであろう攻撃の準備を進めている重要なタイミングで出された。

この判決はまた、米国と欧州の800人以上の現役高官が、ガザ紛争に関する自国政府の政策が「重大な国際法違反」に当たる可能性があるという警告に署名した、環大西洋声明の発出と時期を同じくして下された。

この裁判所命令が履行されれば、オランダはガザ地区で行われている残虐行為の当事者としての誹りを免れることができる。

アブデル・アジズ・アルワイシェグ博士

この声明には米国と欧州連合に加え、英国、フランス、ドイツを含む欧州11か国の公務員が署名した。彼らは、自国の政府が「今世紀最悪レベルの人的大惨事」に「加担」している危険性があると警告した。

人権団体はオランダ控訴裁判所の判決を歓迎しており、欧州連合のジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表は月曜日にこの判決に言及し、イスラエルへの武器供給の削減を呼び掛けた。

この裁判所命令が履行されれば、オランダはガザ地区で行われている残虐行為の当事者としての誹りを免れることができる。

イスラエルへの武器提供国は、同国による国際人道法への重大な違反をめぐって、その法的責任を問われるリスクを抱えている。1月に国際司法裁判所が、ガザ地区においてジェノサイドが行われている可能性があるとする判決を下して以降、それはますます妥当な考えとなっている。

オランダのジェフリー・ファン・レーウェン外国貿易大臣は、オランダだけがイスラエルに武器を供給しているわけではないと指摘したが、それは正しい。

同大臣はこのように述べている。「我々は、イスラエルに協力する国々からなる大きなコンソーシアムの一員である。今回の判決にどう対処するか、パートナーと話し合うつもりだ。」

しかし、このような弁明をしたところで、オランダの責任が免除されるものではない。

ジュネーブ諸条約やその他の国際人道法の適用において、国家が武力紛争におけるパートナーの行動に対して責任を負うことは昔から定着している。

そのパートナーシップは積極的な軍事関与である必要はなく、訓練、武装、装備、資金提供、情報提供、共同作戦など幅広い活動が含まれる可能性がある。

このような国家は、パートナーの行動に影響を与えることができる特殊な立場にあり、影響力を持つことで、国際人道法の尊重を確保するというより大きな責任と機会が生まれる。

英国、ドイツ、オーストラリア、カナダ、オランダなどの国々は、ガザ戦争でイスラエルに軍事支援を提供し続けることで、事実上その紛争におけるパートナーとなり、多くの国からイスラエル軍の行為に加担しているとみなされている。

これは特に米国に当てはまることで、米国はイスラエルへの軍事支援を継続しているだけでなく、支援を拡大し、この戦争で使用される武器の供与を加速している。

国際人道法を尊重し、その尊重を徹底する義務は、第1条に規定されており、1949年の4つのジュネーブ条約のそれぞれに共通かつ同一であり、加えて、第1および第3追加議定書にも謳われている。また、慣習国際法における揺るぎない信条にもなっている。

したがって、違反を奨励や幇助をしないという明らかな義務が存在する。さらに、紛争当事国に影響を与え、国際人道法を尊重する姿勢へと導くための実行可能な措置を講じる積極的な義務もある。

つまり、支援提供国の主観的な意図にかかわらず、他国による違反を奨励、補助、手助けするような支援は提供できないということだ。

実際、赤十字国際委員会(ICRC)のジュネーブ諸条約に関する権威ある注釈によれば、国家は、「事実または過去のパターンにおける知識に基づく予測」から、ある武力紛争の当事国に支援を提供すれば、国際人道法に違反するために利用されると思われる場合には、そのような支援はしてはならないとされている。

国際社会の責任ある一員として、現在イスラエルに物的支援を行っている国々は、イスラエルを抑制する義務も負っている。支援が大きければ大きいほど、支援国側に求められる措置はより広範になるだろう。

イスラエル支援国がその違反を阻止するために影響力を行使するうえで、考えられる行動は無限にあり、武器の禁輸から始まり、必要に応じて他の形態の支援を段階的に廃止または停止するなど、その多くは非常に現実的なものである。

ICRCの注釈は、違反の発生を止める努力に加えて、ジュネーブ諸条約に基づく義務により、各国は違反の発生を「予防」する措置を講じなければならないと指摘している。ここでも、イスラエルを支援する国々が残虐行為の発生を予防し、それに対する自らの責任を軽減するためにガザ地区で講じることができる多くの措置がある。

比較的単純で費用のかからない措置は、国連やその他国際機関がガザ地区での任務を支障なく遂行できるようにする、さらには彼らを保護したり、力づけたりすることだろう。

同様に効果的な措置は、これらの国々が外交、治安、人道スタッフをガザ地区に派遣することだろう。そういった人たちが存在するだけで、違反を阻止できる可能性がある。

イスラエル支援国が軍事援助を続けて、イスラエルによる国際人道法違反の継続を可能にしたり、ジュネーブ諸条約の義務を果たすために必要な措置を講じなかったりすれば、オランダ政府がそうなったように、国際司法裁判所、国際刑事裁判所、自国の裁判所の法廷で、イスラエルと同様の状況に陥る可能性がある。

これらの裁判所はいずれも、イスラエルの行為を物的に支援し、イスラエル軍による国際人道法違反を防ぐ措置を講じなかったという理由で、イスラエルのパートナーについて、その行動に対する責任があると認定する可能性がある。

  • アブデル・アジズ・アルワイシェグ博士は、湾岸協力会議(GCC)の政治問題・交渉担当事務次長補である。ここで表明された見解は個人的なものであり、必ずしもGCCの見解を表したものではない。X: @abuhamad1
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