
東京:9月8日に与党自由民主党は、安倍晋三総理の後継者を選ぶための総裁選を告示した。安倍総理の強力な右腕の役割を果たしてきた菅義偉官房長官がほぼ独走状態にある。
菅官房長官(71歳、実家はイチゴ農家)は、9月14日の総裁選に先立ち自民党内の主要派閥からの支持をすでに取り付けている。
しかし対抗馬はいる。国民の間で人気の高い元防衛大臣と自民党の政調会長も立候補している。
自民党が国会で過半数を優に超えているため、総裁選の勝者が9月16日の国会での首班指名選挙で最多得票となり、次期総理に指名されるのは確実だ。
憲政史上最も長く首相の座にあった安倍総理が、8月下旬に健康上の理由で突如辞任を表明してから、自民党の後継総裁選びが始まった。
次期首相がより多くの国民の支持を得るため、衆議院の解散総選挙に打って出るという見方もある。
8日午前に、菅官房長官、石破茂元防衛相、岸田文雄政調会長3名の代理人が正式に立候補を届け出た。
候補者3名は公開演説を行い、8日午後に合同記者会見を行うとみられている。
党所属国会議員のみによる投票と、全国47の自民党都道府県連から各3票が投じられる際、公開討論がさらに2回行われる。全国一斉の党員・党友投票は見送られた。党本部によると時間がかかり過ぎるからとのことだ。
日本の最高責任者を務める次期首相に誰が選出されるにせよ、数々の難題に直面することとなる。コロナ禍とそれに伴う不況対策から、延期された東京オリンピックを来年開催することまで様々だ。
3名の候補者はいずれも、安倍首相と大幅に異なる政策を取るとはみられておらず、菅官房長官は辞任する安倍総理が掲げていた政策を継承すると明言している。
石破・岸田両候補とも、コロナ禍対策として経済的苦境に陥った人々を対象とする景気刺激策を着実に実行していく必要があると訴えている。
元銀行員の石破氏(63)は一般有権者の間では人気があり、安倍首相が辞任する以前から一貫して世論調査で首位の座にある。
防衛政策通として、石破氏は平和憲法の下における自衛隊の役割を強化すべきと主張している。
しかし、自民党内にはいまだに石破氏に対する不信感が一定ある。離党して無所属になり、その後他党に所属してから復党したという過去があるからだ。
岸田氏は石破氏と同じく63歳になる。長らく公然と安倍総理公認の後継者とみられてきた。
しかし岸田氏はここ最近になって勢いを落としたようだ。自らの低所得世帯に的を絞った現金給付案に対する反対意見が多く、全国民に対する一律給付金が採用されたからだ。さらに安倍総理は特定の候補を表立って応援することはないと述べた。
菅氏はこれまで総理を目指す意志はないと述べていたが、最近になって安倍政権の政策、特に経済政策を継続させるため総裁選に立候補する決断をしたと述べた。
菅氏はアルバイトをしながら夜間大学に通い、横浜市議会議員となった経歴がある。さらに安倍総理の最側近を務め、政府方針に強い影響力を行使してきている。
菅氏は強大で政府方針に背くこともある日本の官僚機構を操る能力に長けているとみられ、メディアとの記者会見の場では質問逃れに終始しているとの非難を浴びてきた。
安倍首相は憲法改正を含む保守的な公約を掲げて、権力の座に就いた。
しかし菅氏の政策課題として知られているのは、イデオロギー的なものではなく実務的なものだ。たとえば、政府機関のデジタル化推進、携帯電話料金の値下げ、外国人観光客の増加などだ。
AFP