
菅義偉首相は14日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定について、15日の首脳会合で署名すると表明した。昨年交渉から離脱したインドを除く、15カ国で大筋合意する見通し。アジアで巨大な自由貿易圏が誕生し、日本にとって中韓両国と初めて締結する自由貿易協定(FTA)となる。会合はテレビ会議形式で開かれ、日本からは菅首相が出席する。
首相は14日、記者団に、会合では「インドの将来の参加も含めて、自由で公正な経済圏を広げる日本の立場をしっかり発信したい」と語り、インドの復帰を呼び掛けていく意向を示した。
15カ国の人口は計23億人に上り、世界全体の3割を占める。日本の工業製品・食品の輸出拡大に加え、自由度の高い経済活動のルールを整備することでアジア広域での企業活動の活発化が期待されている。日本はRCEPを通じ、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた国内経済の再生につなげたい考えだ。
協定の範囲は、物品関税の撤廃・削減や知的財産の保護、電子商取引のルールなど20分野に及ぶ。関税分野では、中国や韓国が日本の酒や焼酎、ワインの関税を段階的に撤廃。日本も紹興酒やマッコリの関税を撤廃することで、日中韓でそれぞれの酒が手ごろな価格で楽しめるようになる。日本製チョコレート・菓子類の関税も段階的に撤廃され、輸出拡大が期待できそうだ。
日本が「聖域」と位置付ける農産品重要5項目(コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)は、関税撤廃・削減の対象から除外する。安価な海外農産品の流入を懸念する国内農家に配慮した。
RCEPはインドを含む16カ国が2013年に交渉を開始。しかし、インドは安価な中国製品の流入を懸念し、昨年交渉から離脱した。15カ国はインド抜きで合意した後も、同国の準備ができ次第、復帰できる仕組みを整える。
JIJI Press