
東京:東京オリンピック競技大会の組織委員会会長が、女性蔑視発言をした後、東京の小池百合子都知事は2月5日、このオリンピック大会は「大きな問題」に直面していると述べた。同会長の発言に対する批判の嵐は、全くやむ気配がない。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長(83歳)は、日本オリンピック委員会との臨時評議員会で行った発言、つまり女性は話が長過ぎるという発言により、今週国内外のソーシャルメディア上で、猛烈な批判を招いた。後になって、同会長は発言を撤回の上、謝罪したが、辞任の意向は否定した。
新型コロナウイルスのパンデミックにより、1年延期され、開会式まで半年弱となっている東京五輪に、この騒ぎはさらに暗い影を落としている。
国際オリンピック委員会(IOC)は2月4日、森会長の謝罪でこの問題は決着したと述べたが、元総理大臣、森会長に対する批判の嵐は、5日も続いていた。
「首都、東京と組織委員会の使命は、安全、安心な大会の準備をすることです。そして、私たちは大きな問題に直面しています」と、小池都知事は述べた。
同都知事はまた、東京都は都民からの抗議の電話が来ていると聞いているとも述べた。
「この発言に、私自身も絶句致しました。あってはならない発言でした」
同知事はその後、森会長が直接電話をしてきて、謝罪されたと述べ、森会長がこの会長職に適任であると思うか、という質問は避けた。
「IOCは長い歴史を持ち、多くの交渉を必要とする大きな組織です。そして、その意味で、誰がこの最高位の会長職にふさわしいかは、東京2020組織委員会の判断も必要な質問です」と、同都知事は述べた。
森会長の発言に対する怒りは、パンデミックの時期に、大会を開催しようとする東京の試みに慎重な日本国民を、さらに消極的にしそうだ。最近実施された大半の世論調査によると、国民のほぼ80パーセントが、7月の大会開催に反対しているという。
JOCの山下泰裕会長は、森会長のコメントは、オリンピック精神に反しており、不適切だったと述べ、これは閣僚たちが口を揃えて述べていた意見だった。
「この大会(の準備)は、世界中の人々の理解と協力と共に進行しなければならないという事実を、国民の皆様に理解していただければと思います」と、日本の加藤勝信内閣官房長官は記者会見で述べた。
腹を立て、失望した日本のアスリート、活動家、一般女性たちは、森会長の所見を、日本のスポーツにおいて、そして社会全体において、男女共同参画は遠い夢のままであるということを、明確に示すものだと考えている。
悲しい現実
「これは、日本の女性たちが日々直面している現実なのです。時代遅れの考え方を持つ年寄りが権力を握り続け、決断をしているのです」と、東京2020組織委員会のある女性職員は語ったが、一存ではメディアで話すことができないので、匿名を希望していた。
「この国では残念ながら、社会的な圧力によって、女性たちが男女の不平等について声高には話せないのです。こういう訳で、昨日の女性蔑視騒動が、日本にとってはさらに一層重大な出来事となっているのです」
日本は男女平等の促進に関して、他の同じような先進諸国の常に後塵を拝しており、世界経済フォーラムの世界ジェンダー・ギャップ報告書で、調査された153カ国のうち、121位だ。
「久々に怒っています」ろ、プロサッカーの下山田志帆選手はツイートに書いていた。
「一度外に出てしまった言動を撤回することは限りなく無意味。むしろ、偏見を認めた上で対策を考えなければ同じことが起こると思うんです」
Change.orgが、「森会長の処遇の検討と再発防止策の実施」を求めるオンライン署名キャンペーンを立ち上げ、5日の午後までに、56,000人以上の署名を集めた。
朝日新聞は社説の中で、森会長に辞任を要求した。
「森発言は…オリンピックが今年の夏にオリンピックが開催できるかどうかで、懐疑論が海外にまで広がるなか、五輪の開催に決定的なマイナスイメージを植えつける暴言・妄言だ」と、同紙は書いていた。「私たちは森会長に、すみやかな辞任を求める」
ロイター通信