
東京:東京2020オリンピックの森喜朗委員長は性差別問題をめぐり金曜日に辞任する予定だが、同氏の後任に指名されると思われている84歳のスポーツ界の管理者もすでに非難を浴びている。
森氏は金曜日遅くにオリンピック組織委員会が開く会合で、 「女性は会議で話しすぎる」 という先週の発言の責任を取り、正式に辞任すると見られている。
今回の発言は猛烈な抗議を引き起こし、ウイルスの影響で延期された同大会が開会式まで6カ月を切り開催が危ぶまれる中、開催に向けた努力を行っている主催者たちにとっては新たな頭痛の種となっている。
森氏は政治家やスポーツ界のスターを含む著名人たちから批判を浴びたが、発言を擁護するような姿勢を見せて「私は女性とあまり話をしない」と記者に話したことで、謝罪が裏目に出た。
同氏の発言から数百人のオリンピックボランティアが辞退し、抗議の電話が殺到したほか、同氏の処遇検討を求める署名が15万人近く集まった。
しかし、83歳のこの元首相が身を引く方向に向かっているように見える一方で、後任候補と報道されている川淵三郎氏に対しても不快感を示す声があがっている。
森氏より1歳年上の川淵氏は、長年スポーツ界の管理者を務めており、1964年に東京で最後にオリンピックが開催されたときに出場した元プロサッカー選手だ。
朝日新聞は「組織委員会の中には心配する声もある」と報じた。
「川渕氏のような老人が引き継いでも、一般の人々を納得させることはできないと思います」と、同紙は大会の運営に関わる情報筋からの言葉を引用して伝えた。
同情報筋は「金曜日の会合ではいくつかの論争が起こると思います」と付け加えた。
川淵氏は有能で広い人脈を持った管理者と考えられており、現在はオリンピック選手村の村長という象徴的な役割を担っている。
しかし、森氏が後継者を指名する姿は、伝えられるところではあまり評判が良くない。
「辞任する責任者が後任者を任命するというのは、意味がありません。後任を任命するプロセスには、いくつかの手順があります。このようなことが許されるのであれば、会議を開いたところで何にもなりません」と、東京2020オリンピックの委員の1人は毎日新聞に語った。
毎日新聞によると、川淵氏は 「森氏に引き続き重要な顧問になってほしい」 と述べており、さらに懸念材料を付け加えたという。
森氏は「12日の緊急会合を前に、後継者を確定することで同氏の影響力を維持できる仕組みを残した」と同紙は書いた。
橋本聖子五輪担当相は金曜日、記者団に森氏の後任者について「何も決まっていません」と語った。
「組織委員会は…様々な人の意見を聞きながら決定するでしょう」と、同氏は述べた。
「正式な手続きを経ることが望ましいです」
今回の騒動は、主催者側がすでにこの夏の巨大な国際イベントの開催について、国民の疑念に直面している中で起きた。
最近の調査では、日本人の約80%が、さらなる延期か完全な中止を支持している。
主催者は、活動の制限や定期的な検査など、選手や当局者、メディア向けのウイルス対策のルールブックを公開することで、この不安を抑えようとしている。
しかし、東京をはじめとする各地はウイルスによる緊急事態宣言下にあり、五輪の実行可能性には疑問が残っている。
日本の現在のウイルスの侵入を防ぐ厳しい規則により、今年の最初のオリンピックのテストイベントはすでに延期されている。そして、東京ではまだ1つのワクチンも承認されていない。
ワクチンの最初の承認は週末に予定されており、おそらく2月末までには数千人の医療従事者が最初に接種を受ける予定だ。
しかし、高齢者へのワクチン接種は4月まで開始されないため、より広い範囲でのワクチン接種の開始の進み具合は遅いものとなるだろう。(AFP)