
アンゲロス・アル・アサナソポロス
アテネ: 地中海東部地域における石油・天然ガス採掘を巡る対立で、ギリシャとエジプトは月曜、妥協案に至った。
この係争はトルコ政府にとって、外交的な牽制を仕掛けるチャンスだった。トルコとエジプトは海洋採掘ゾーンに関して独自の合意に近づいたということを示したかったのだ。
しかし、ギリシャ首相キリアコス・ミツォタキス氏は数日前、エジプト大統領アブドルファッターフ・アッ=シーシー氏と会談を行った。その直後、ギリシャのニコス・デンディアス外務大臣がエジプトの外務大臣サーメハ・シュクリ氏と会談するために月曜日にカイロへ外遊することが発表された。
会談後、デンディアス外務大臣はエジプトの3つの採掘エリアのうちの1つに関係する係争中の問題について述べた。二国間の以前の合意の境界線に従う内容だが、トルコが権利を主張していた東側のエリアへと拡大するものでもあり、「法解釈上のもの」に過ぎず、解決済みだった。論争の的になっていたブロックの位置はエジプトとギリシャの専門家同士の協議後に調整されたと報道されている。
先だって、エジプトの外交筋からアラブニュースに伝えられたところによると、エジプト政府が地中海東部の問題についてトルコと話し合ったことを示唆する噂は真実ではないという。過去一週間で、メブルト・カブソグル外務大臣、フルシ・アカル防衛大臣、イブラヒム・カルン大統領報道官を含むトルコ高官がエジプトとの境界画定合意に達する可能性について語った。
しかし、エジプトの情報筋によれば、エジプト政府は地中海東部についてのトルコとの交渉にギリシャとキプロスが参加するという約束を維持しており、この問題を巡ってトルコと交渉する「意志はない」という。
さらに、「エジプト側はリビア国民合意政府とトルコ政府の間で調印された海上協定を拒否する立場を貫いている」という。
ギリシャ政府とエジプト政府の不協和を利用してトルコ政府が自国の地域的課題を前進させようとしたのはこれが初めてのことではない。
「トルコは最新の計略で、主に英語メディアでニュースを広めようとしました。その内容は、トルコはエジプトとの『和解』を求めており、エジプトとトルコは海上の境界に関して合意に近づいている、というものですが、これはエジプトとギリシャ・キプロスの関係に対するトルコ政府の妨害工作の一部です」エルサレム・ポスト紙の特派員でアナリストのセト・フランツマン氏がアラブニュースに伝えた。
「プロパガンダを利用したトルコの猛攻は以前にも見られたものです。トルコ政府が同じような、イスラエルとの存在しない「調停」をでっち上げたことがあります。トルコ政府が作り上げたこの神話は闇雲にデザインされたものではなく、エジプト、ギリシャ、キプロス、イスラエル、フランス、アラブ首長国連邦の連合が勃興してきているところへ不和や懸念を生み出すことを狙ったものです」
トルコ当局は単純に、その海域の支配権を主張するキプロスやギリシャからの承認や合意を受けることなく、地中海東部の大部分の支配権を得たいと望んでいる、とフランツマン氏は付け加えた。
「トルコの戦略政策界では、地中海東部地域の主要な近隣諸国との関係の再調整を模索しようという全体的な傾向があります」ナバラ大学(Universidad de Navarra)講師にして欧州安全政策オーストリア研究所(AIES=Austrian Institute for European and Security Policy)の上級フェローであるマイケル・タンコ教授がアラブニュースに語った。
「トルコは地中海から中東やアフリカにかけて商業的影響力を拡大しようと模索しており、エジプトやイスラエルのような国を自分たちの宿縁のライバル国に近づけさせることは、この目的にとって利益にならないことです」
エジプトとの関係改善を行って地中海東部に関係する問題でのトルコの孤立を終わらせるのは長い道のりとなるだろう、と氏は付け加えた。
「トルコとエジプトの商業的関係は大きなものですが、協調をさらに強化する余地はあります」タンコ氏は語る。
「双方が協力のための真の善意を相手に納得させれば進展が可能となります。エジプトとトルコにとって、リビアとムスリム同胞団についての明確な相互理解が求められています」
氏は次のように付け加える。「バイデン新政権の外交政策のリセットは、選択肢を模索する好機を作り出しています」
カイロ訪問の最中、デンディアス氏はアラブ連盟のアハメド・アブルゲイト総書記とも会談を行った。ギリシャがアラブ連盟のオブザーバー国の地位を獲得するために継続している取り組みの一環である。