• 「対ドル為替レートが急落し食品がドルで価格設定される中、退役兵士の収入はすずめの涙です」
• 「腐敗した政治家から私たちを救ってくれる国際的保護が必要です。私たちはもはや食料を確保できません」

ナジャ・フーサリ

ベイルート：ベイルートの繁華街で22日、退役軍人らが街頭に繰り出し、レバノンの経済危機と汚職の蔓延のせいで自分たちが経済的苦境の高まりに直面していると抗議した。

彼らが行った怒りのデモは、22日にレバノンポンドの価値が急落したのをきっかけにソーシャルメディア上で市民的不服従や抗議行動が呼びかけられたのを受けたものだ。デモ参加者の多くはレバノンの国旗や、政府とその金融政策を非難するプラカードを掲げていた。

アラブニュースが話を聞いたデモ参加者の一人は、「支配層の良心はどこにあるのでしょうか」と語った。

「生涯をかけて国に奉仕した退役軍人たちが食うに困り医療サービスを受けられない現状に対して罪悪感を感じないのでしょうか。病院は彼らの遺体を遺体安置所の冷凍庫に保管しています。彼らの家族が病院代を払えないからです」

別の退役軍人はアラブニュースに対し次のように語った。「対ドル為替レートが急落し食品がドルで価格設定される中、退役兵士の収入はすずめの涙です」

「腐敗した政治家から私たちを救ってくれる国際的保護が必要です。私たちはもはや食料を確保できません。私たちはどの政党や民兵組織にも従いません。私たちが属するのは祖国だけです。彼らはこの国を危険に晒す犯罪者です。国民は圧制者を容赦しないということを知らしめましょう」

レバノンポンドの対ドル為替レートが急落したため、退役軍人や公共部門労働者に支払われる月給の価値は20～60ドルにまで下がった。

退役准将のチャメル・ルーコズ氏はアラブニュースに対し、「まだ国が存在しているか確かめるために、そして給料と、尊厳をもって医療を受ける権利を要求するために来ました」と語った。「国は私たちに対して義務を負っています。街頭に繰り出すことが私たちにできる唯一の方法でした」

デモ参加者らは、政治的現状に反対する国民のムードを代弁することを約束して昨年新たに選出された国会議員らのブロック「変革の力」の代表らとの面会を、「彼らは国民のためになることを何もしなかった」という理由で拒否した。ポーラ・ヤコビアン議員や活動家のワセフ・アル・ハラケ氏は今回のデモから追い出されたという。

デモ隊はグランド・セレイル（ナジーブ・ミカティ暫定首相の本部）を囲む有刺鉄線フェンスを破り、侵入の意志を宣言した。それに対し、治安部隊と機動隊は催涙ガスを使用して群衆を追い散らした。デモ参加者の大半は高齢者で、多くの人が窒息しかけ赤十字による治療を受けた。

負傷したデモ参加者の一人は、「爆弾に金を使うくらいなら飢えた兵士たちに金を与える方がいいのではないでしょうか」と言った。

その後、ミカティ首相と面会したデモ参加者たちは、現在の為替レート（1ドル=9万レバノンポンド）の代わりにサイラファ・プラットフォームの為替レート（1ドル=2万5000レバノンポンド）に基づいた給与を「公共部門労働者や退役軍人に支払うことなどの要求に応えるという約束が果たされなかった場合、前例のないエスカレーションが起きる」と警告した。

別の事件もあった。ベイルート南郊のジュナー地区では、漁師たちが経済状況の悪化に抗議して道路を封鎖した。

財務省の前では、行政機関職員を代表する団体のメンバーらがデモを行い、「公共部門職員の権利として、給与と交通手当を見直し、医療・教育補助金を保証する」よう政府に要求した。

同様のデモがシドン、ティール、ナバティーエでも行われた。

エルネスト・リゴ・ラミレス氏率いる国際通貨基金（IMF）代表団は22日、ワリード・ビン・アブドゥラー・ブカーリ駐レバノン・サウジ大使と会談した。大使館関係者によると、彼らは「（全体的な）進展、レバノンが政治・経済危機から回復するために必要な条件、共通の懸念事項」について話し合った。

一方、大ムフティーのシェイク・アブドゥル・ラティフ・デリアン師は、イスラム教の聖なる月ラマダンの始まりに際しての国民への演説の中で、「国民が代償を払うことになる混乱が生じつつある」と警鐘を鳴らし、「直ちに憲法に則って大統領を選出し、これ以上時間を無駄にしない」ことが必要だと訴えた。

「我々はこれ以上待てない。人々は生活に最低限必要なものを失い始めている。政治階級と国民は違う世界に住んでいる」