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教育の機会を失うレバノンの子供たち、危機が強いる犠牲

2023年9月18日、ベイルートのダウンタウン地区にあるレバノン議会の外で、プラカードを掲げて座り込みをする学校の教師。(AFP通信)
2023年9月18日、ベイルートのダウンタウン地区にあるレバノン議会の外で、プラカードを掲げて座り込みをする学校の教師。(AFP通信)
2023年9月18日、ベイルートのダウンタウン地区でレバノン議会の外で座り込みをする間、プラカードを掲げる学校の教師たち。(AFP通信)
2023年9月18日、ベイルートのダウンタウン地区でレバノン議会の外で座り込みをする間、プラカードを掲げる学校の教師たち。(AFP通信)
2023年9月21日、3人の幼い子供たちを公立学校に通わせる余裕すらなくなるのではないかと心配する主婦のファラ・クーバルさんの子供2人が、ベイルートの自宅のアパートで自分たちの練習帳を確認している。(AFP通信)
2023年9月21日、3人の幼い子供たちを公立学校に通わせる余裕すらなくなるのではないかと心配する主婦のファラ・クーバルさんの子供2人が、ベイルートの自宅のアパートで自分たちの練習帳を確認している。(AFP通信)
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30 Sep 2023 01:09:06 GMT9
30 Sep 2023 01:09:06 GMT9
  • 学校制度の資金不足により教師のストライキと学校の閉鎖が繰り返され、子供たちが正式な学習制度からますます遠ざけられている
  • 2019年後半に経済が破綻して以来、レバノンの公的機関は崩壊している

ベイルート:レバノンの深刻な経済危機が公教育の行方を不透明にしているため、ラナ・ハリリさんは子供たちをいつ学校に戻せるのか分からない。

学校制度の資金不足により教師のストライキと学校の閉鎖が繰り返され、子供たちが正式な学習制度からますます遠ざけられており、場合によっては働かざるを得なくなっている。

ハリリさん(51)は、娘のアヤさん(9)が「『いつ学校に戻れるの?』と繰り返し尋ねてきますが、何と言えばよいのか分かりません」と話した。

2019年後半に経済が破綻して以来、レバノンの公的機関は崩壊しており、人口の大半が貧困に追いやられ、公立学校にも大きな打撃を与えている。

レバノン・ポンドの対米ドル為替レートが98%以上下落して、教師を含む公共部門の労働者は給与の価値が暴落したため、ストライキを繰り返している。

「昨年はストライキのため、子供たちは3か月間家にいました」とハリリさんは語った。

ハリリさんは14歳の娘メナちゃんがいつか医者になることを望んでいた。

だが今となっては「そもそも娘が学校に行けるようになって欲しい」と、4人の子供たちに囲まれて友人の家に座っていたハリリさんは語った。

「過去4年間、教師は権利を確保できず、子供たちは基礎教育を受けられずにいます」

公的機関で働く教師の収入は月に150ドルから300ドルに相当し、教育省は資金不足に警鐘を鳴らしている。

ハリリさんは怒りを表明するため街頭へ繰り出し、9月に座り込みで賃金の改善を要求する教師とともに抗議を行った。

新学期は10月上旬に始まる予定だが、開始日が不透明な中、13歳と17歳の2人の息子は配管工である父親のもとで仕事を始めた。

一方で、娘たちは自宅待機を余儀なくされている。

「子供たちには学位を取ってもらいたい……でもこの国は子供たちの未来を奪っています」とハリリさんはため息をついて言った。

国連の児童機関によると、2019年以降、子供たちは「教育の壊滅的な混乱を経験している」という。

混乱の原因としては、経済危機、新型コロナウイルスの流行、ベイルート港を揺るがし犠牲者を出した2020年の爆発事故、学校閉鎖を余儀なくされたストライキなどが挙げられる。

ユニセフ・レバノン事務所によると、「学校までの交通費、食料費、教科書代、文房具代、衣料代などの教育費用」を負担できなくなっている「家族が増え続けている」

ユニセフが6月に発表した報告書によると、少なくとも15%の世帯が子供を退学させており、1年前の10%から増加している。

また同報告書によると、10世帯に1世帯が、時には6歳にも満たない子供を、収入を得るために働かせることを余儀なくされている。

ユニセフ・レバノン事務所の教育部長アティフ・ラフィーク氏は「学校に通えない子供たちは……暴力や……貧困にさらされ」ており、女児の児童婚リスクが高まると述べた。

アッバス・ハラビ教育相は資金問題を繰り返し訴えており、9月には「公教育が危機に瀕している」と警告した。

「今日、最も緊急を要する課題は財政だ」と述べ、教育省は来年度の資金確保に向けて今も取り組んでいると付け加えた。

レバノンの教育省は公立学校に在籍する26万人以上のレバノン人生徒と15万2,000人以上のシリア人生徒の教育のための資金の大部分を、政府の与信枠と、主に世界銀行と国連からの資金提供に頼っている。

しかし、ハラビ教育相によると、寄付者は公立学校の職員にこれ以上の資金提供をする余裕はないと伝えてきたという。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の最近の報告書によると、同国教育省は「財政的制約を理由に」教育日数を2016年の180日から過去2年間で約60日に削減した。

HRWのレバノン調査員ラムジ・カイス氏によると、教育省には何年も、休校することなく学校を続けるために必要な資金を確保するための「計画はなかった」

「もし5年目がなくなったり中断されたりすれば、壊滅的なものになるだろう」と同氏はAFPに語った。

しかし、そのような状況にもかかわらず、もはや私立教育を受けさせる余裕がないためより多くの生徒がレバノンの公立学校に流入している。

主婦のファラ・クーバルさん(35)は、3人の幼い子供を公立学校に通わせる余裕すらなくなるのではないかと心配している。

ベイルートの小さな自宅で、「うちの子たちは教育を受ける機会を失うのではないかと心配しています」とAFPに対して語った。

「年々、生活はますます苦しくなっています」とファラさんは語り、家族が生き延びるために知人に経済的援助を求めざるを得なかったことを、涙をこらえつつ振り返った。

「食料、水、ガソリン、パンに至るまで、すべてが高価です」

AFP

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