
政府が新型コロナウイルス禍で打撃を受けた企業の財務基盤を強化するため、日本政策投資銀行など政府系金融機関が単独でも資本支援できるように制度を改正することが18日、明らかになった。従来は民間金融機関との協調支援が原則だった。外出自粛の影響が大きい飲食業を中心に全業種を対象とし、近く財務省などの告示を改正する方針だ。
政府は首都圏1都3県に発令中の緊急事態宣言を21日で解除するが、飲食業への営業時間短縮要請は続く。非正規雇用が多い飲食などサービス企業の危機回避には政府系金融が率先して支援することが必要と判断した。
改正の対象となるのは、政府系の政投銀と商工中金による中堅・大企業向けの危機対応業務。資本に近い「劣後ローン」などを企業に供給し、財務面から資金繰りを下支えする。現在は民業圧迫を避けるため、銀行などが政府系と同額以上を支援することが原則となっている。
ただ、感染長期化で飲食・宿泊業の経営が悪化する中、民間側が支援をためらう事例が続出。政府は飲食業などの雇用維持に向け、「民間が同額以上」の原則を見直す。制度改正により、政投銀と商工中金は民間からの投融資が少なかったり、なかったりする場合でも大規模に劣後ローンを供給することが可能になる。
政府は2020年度第2次補正予算で政投銀などによる劣後ローン供給の仕組みを整えた。11年の東日本大震災後に実施した同様の制度では支援額を最大20億円としたが、コロナ禍対応では上限を設けていない。今回の改正で政府系金融が支援できる幅は広がるが、経営不振のまま存続する「ゾンビ企業」を生み出す恐れもあり、企業の持続性についての見極めが課題になる。
JIJI Press