
菅義偉首相(自民党総裁)は党刷新をアピールするため、衆院選前に二階俊博幹事長の交代を柱とする党役員人事を行う方向で調整に入った。二階氏と30日に首相官邸で会談し、意向を伝えた。時期は流動的だが、再選を目指す党総裁選での支持獲得につなげるため、9月17日の告示前に断行する案も出ている。
二階氏は首相との会談で、「結構だ」と伝達した。ただ、二階派が反発すれば、首相の再選戦略が揺らぐ可能性もある。
二階氏は昨年9月の総裁選で、菅氏支持をいち早く打ち出して菅政権発足の流れをつくり、今回も首相再選支持で二階派をまとめる考えを他派閥の領袖(りょうしゅう)に先駆けて表明した。
二階氏は今月3日に在職5年を迎え、歴代最長記録更新を続けている。しかし、党内では不満が高まっており、報道各社の世論調査で内閣支持率が過去最低水準に低迷する中、党内では「二階氏への批判も背景にある」との見方が出ている。
一方、総裁選への出馬を表明した岸田文雄前政調会長は二階氏交代を念頭に、党役員任期を連続3期3年に限定すると公約している。首相周辺では岸田氏のアピールポイントを打ち消すため、総裁選前の人事断行が得策との声が出ている。
時事通信