
東京:日本政府は22日、2050年にカーボンニュートラルを達成するという同国の公約を達成するため、クリーンエネルギー源として、原子力と再生可能エネルギーを推進する新しいエネルギー政策を採択した。
11月初旬の気候サミットに間に合うよう閣議決定された新しいエネルギー基本計画は、日本が野心的な排出削減目標の達成を後押しする中、今後10年間で化石燃料の消費を削減するため、再生可能エネルギーの利用を大幅に増やすことを求めている。
日本は、2011年の福島の原発事故以降、原子力発電産業をどうするのか、決めかねてきた。政府は今回、日本が気候変動に対する世界的な取り組みにさらに力を入れようと、原子炉の再稼働が排出目標を達成するための鍵だとしている。
経済産業省がまとめた128ページに及ぶ計画は、日本が水素・アンモニアエネルギー、カーボンリサイクル、原子力エネルギーに関する野心的な目標を設定すべきだとしている。また、洋上風力発電の推進や、成長の可能性を秘めた蓄電池の利用も求めている。
同計画は、排出目標の達成のために「あらゆる選択肢を動員する」とし、「安定した低コストのエネルギー供給が前提条件だ」と付け加えている。
この計画変更は、菅義偉前首相が4月に発表した二酸化炭素排出削減目標を達成するためのものだ。今月には、原発再稼働を支持する後任の岸田文雄氏が就任した。
日本は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するため、排出量を2013年の水準と比較して46%削減することを公約に掲げている。これは従来の目標の26%からは増加となる。日本政府は、欧州連合の公約に合わせて、削減率を50%にまで近づけることにも挑戦するとしている。中国は2060年までのカーボンニュートラル達成を約束している。
このエネルギー計画は、2030年の電力供給に占める再生可能エネルギーの割合を、現在の目標である22-24%から引き上げて、36-38%とし、水素やアンモニアなどの新たに導入する燃料の割合を1%にすべきとしている。
2030年の化石燃料の使用目標は、56%から41%に削減された。同計画は、化石燃料への依存度を低減するとしているが、その時期については言及していない。また、日本は、今年これまでに発表されたG7の公約に従い、排出削減対策がされていない石炭火力発電所プロジェクトに対する国外支援の提供を停止するとした。
2050年の排出ゼロ目標は、原発の早期再稼働を求めることにつながった。日本の化石燃料への依存度低減に向けた歩みは、2011年の福島の事故以降、ほとんどの原発が長期にわたって閉鎖されたことにより進んでこなかった。
同計画は、原発の目標を20-22%に据え置いている。日本政府は、原子力への依存度を可能な限り低減することを目指しているが、原子力は引き続き重要なエネルギー源だとしている。専門家らは、段階的廃止はすぐにはあり得なさそうだとしている。
萩生田光一経済産業大臣は、「徹底した省エネ、再生可能エネルギーの最大限の推進、安全な原子炉の再稼働」が重要だと述べている。
日本は、プルトニウム燃焼炉「もんじゅ」の失敗や、プルトニウム貯蔵の安全対策に関する国際的な懸念にもかかわらず、使用済み核燃料をプルトニウムに変換する核燃料サイクルを継続する予定だ。
政府の作業部会は、福島第一原発のメルトダウン後に設定されたより厳格な安全基準により遅れている原子炉の再稼働を「加速」させると、同計画は述べている。
同計画は、新しい原子炉の可能性については、一部の業界関係者や原発推進派の国会議員から求める声が上がっているにも関わらず、言及しなかった。日本は小型モジュール炉(SMR)の研究開発を進めており、将来的にクリーンで、安価で、より安全な原子力発電の選択肢になると考えられている。
原子力エネルギーの目標は、国民の間で根強い反原発感情があり、より多くの時間がかかる当局による安全確認が行われるため、達成は難しくなる。このエネルギー計画は、数値目標は示していないが、専門家らは、20-22%の目標達成には、約30基の原発再稼働が必要になるとしている。
福島の原発事故の後、電力会社は、福島原発事故後に設定されたより厳しい基準が求める追加の安全対策に多額の投資をすることよりも、古い原子炉の廃炉を選んだため、日本の54基の稼働可能な原子炉のうち、24基が廃炉されることになった。この10年間に再稼働した原子炉は10基に留まっている。
AP