
全国農業協同組合連合会(JA全農)などは21日、世界的に問題となっている海洋プラスチックごみによる汚染抑止に向け、2030年までにプラ製のカプセルで覆った肥料の使用ゼロを目指す方針を公表した。こうした肥料は主に稲作で使用されており、細かなカプセルが田んぼから流出して海洋汚染につながっていると指摘される。関係業界や事業者に広く呼び掛け、削減を推進する。
全農と全国複合肥料工業会、日本肥料アンモニア協会が取りまとめた。環境団体は昨年の調査で、5ミリ以下のマイクロプラスチックの海洋への流出量は年間約157トンと推計。このうち15%が肥料用カプセルとし、削減が喫緊の課題となっている。
プラ製のカプセルで覆った肥料は、内部の肥料成分が徐々に溶け出す仕組み。肥料を追加する手間が省けるほか、投入量を減らし、地下水などへの栄養分の流出も抑制されるという。
農林水産省によると、カプセルがプラ製という事実を知らずに使用している農家も多い。このため全農などはプラスチックが含まれることを周知するとともに、田んぼからの流出防止対策を徹底。さらに、プラ製品からの転換を図る代替技術の開発を進める。
農水省は業界団体の動きを受け、プラ製カプセルの流出防止対策を後押しするため、都道府県や関係団体に向けて対応強化を求める考えだ。
時事通信